実験的なインディペンデント映画から超大作まで、幅広く活躍しているイーサン・ホーク。若い頃のナイーブさを残しつつ、年齢を重ねて渋くなり、ますます魅力的になっている。

そんな彼と元妻ユマ・サーマンの娘マヤが大ブレイクし、さらに美男子と話題の弟レヴォンにも今アツイ視線が注がれている。イーサン自身、かつてはそのまばゆいほどの初々しさで、ハリウッドを代表する若手俳優として脚光を浴びた。今回は、注目度急上昇中の子どもたちとともに、若き日のイーサンの姿も振り返ろう。

【写真】どんどん洗練される美貌! マヤ・ホーク、かわいらしい幼少期から現在の姿まで

◆女優・歌手として活躍 マヤ・ホーク(22)

 SF映画の名作『ガタカ』(1997)の共演をきっかけに交際し、映画公開の翌年に結婚したイーサンとユマ。2人は後に離婚するものの、1998年に生まれたのが娘のマヤ。イーサンの繊細さとユマの透明感を受け継いだ唯一無二の個性を武器に、現在多方面でばく進中だ。

 マヤは、ジュリアード学院などで演技を学んだあと、2017年放送のドラマ『若草物語』でジョー・マーチに抜てきされ女優デビュー。そしてNetflixの大ヒットドラマ『ストレンジャー・シングス』のシーズン3で、クールな女子ロビンを演じて大ブレイクした。その後も、母ユマと親交のあるクエンティン・タランティーノ監督作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(2019)に出演するなど、着々とキャリアを積んでいる。昨年は、イーサン主演のミニシリーズ『The Good Lord Bird(原題)』(2020)に出演し、親子役で共演。マヤのインスタグラムでは、作品のクリエイターでもあるイーサンへの賛辞とともに、撮影現場の写真が公開されている。

 また2019年には、自分で作詞した楽曲をリリースし歌手デビュー。
その歌声は、ナチュラルだが品があり、とても美しい。作曲を担当したのは、ノラ・ジョーンズの「Don’t Know Why」で知られるジェシー・ハリス(父イーサンとも親交あり)で、彼と共に来日公演も果たした。音楽に傾ける情熱は、これまで何度もミュージシャンを演じ、有名ピアニストのドキュメンタリーを監督した父の影響かもしれない。

◆イケメンすぎると話題に レヴォン・ホーク(19)

 マヤの弟レヴォンも、母ユマの美貌とエレガントさと受け継いで美男子に成長し、大注目の存在。これまでも、両親とイベントで目撃されるたびに話題になってきた。昨年1月には、パリで開催されたディオールのショーに、ユマと一緒に登場。キュートなブロンド美少年だったレヴォンが、いつの間にか180cmの長身ユマを超すほどに大きくなり、ますます雰囲気を増した美しさも相まって、メディアを大いにザワつかせた。

 名優の両親と、並外れた容姿を持つとなると、演技での活躍が期待されるところ。すでに2018年に、ショートフィルム『Blackout(原題)』に出演済みで、さらに姉に続き『ストレンジャー・シングス』のシーズン4に出演することも決まっている。どんな役なのか詳細は不明だが、楽しみな予感しかない。

◆音楽でつながるファミリー 異母妹たちとも仲良し!

 イーサンは、ユマと2005年に離婚。2008年にはマヤとレヴォンのナニーだったライアンさんと再婚し、娘が2人誕生している。
マヤとレヴォンは年の離れた妹たちとも仲が良いようで、インスタグラムにもたびたび登場。昨年のロックダウン中には、マヤの新曲「Coverage」のMVを、イーサンが監督。インスタグラムでその様子がシェアされ、ギターを担当するレヴォンや、小さい妹たちの姿も見ることができる。インスタでは、妹たちが制作したというマヤの楽曲のストップモーションMVも公開中。ホーク家の才能が底知れない。◆ザ・イケメン! イーサン・ホークの20代の作品を振り返る

 まさに今、輝き始めた子どもたちをしっかり見守っている印象のイーサン。自身は眉間の深い皺すら魅力的な、味のある演技派だが、若き日のナイーブさを秘めたヤンチャな姿はもう最高! 若き日のイーサンを堪能するなら、まずはこちらの作品をチェック!

・イーサンを堪能するならコレを観よ! 『リアリティ・バイツ 』(1994)

 厳しい現実にさらされるジェネレーションXの奮闘を描く青春群像劇。イーサンが演じるのは、頭が良く教養もあるのに社会に対して斜に構え、恋愛に対してもきちんと向き合わない、まさに時代を象徴する青年トロイ。イーサンの歌声も聴けるオイシイ作品で、ウィノナ・ライダー相手のままならないロマンスも見どころ。90年代の気だるい空気感とともに、若きイーサンの体温まで感じられそうな、親密な演技を堪能できる。

・リチャード・リンクレイター監督と出会った『恋人までの距離(ディスタンス)』 (1995)

 『6才のボクが、大人になるまで。』のリチャード・リンクレイター監督作。
旅先で偶然出会ったアメリカ人の青年ジェシーとフランス人大学生セリーヌが、ウィーンの街を巡りながら一晩語り明かす。続編『ビフォア・サンセット』(2004)と『ビフォア・ミッドナイト』(2013)が公開され、ジェシーとセリーヌの人生を追うことができるのも魅力的。リンクレイター監督とは本作以降何度もタッグを組んでおり、今も温めているプロジェクトがあるというから楽しみ!

・端正なイーサンを堪能『ガタカ』 (1997) 

 元妻ユマ・サーマンと出会った記念すべき作品。遺伝子操作により、優れた資質を持つ「適正者」が生み出され、そうでないものはあらゆるチャンスから弾かれてしまう近未来が舞台。イーサンは「不適格者」ながら、身分を偽り、宇宙飛行士の夢を追い求める青年。かっちりとしたスーツに、きっちりヘア、端正なルックが観られる貴重な作品。もちろんユマとのラブシーンも!

・小悪魔令嬢グウィネス・パルトローに翻弄されるイーサン 『大いなる遺産』(1998)

 チャールズ・ディケンズの小説『大いなる遺産』を、公開当時のアメリカを舞台に映画化した作品。監督は『ゼロ・グラビティ』や『ROMA/ローマ』のアルフォンソ・キュアロン。イーサンが演じるのは、グウィネス・パルトロー演じる小悪魔な令嬢エステラに翻弄(ほんろう)される、画家志望で貧しい漁師の青年フィン。船上で肉体労働をするイーサンもとてもカッコ良い一作。

・極悪デンゼル相手に奮闘! オスカーに初ノミネート『トレーニング デイ』 (2001)

 珍しく極悪な役を演じるデンゼル・ワシントン相手に、若く正義感あふれるイーサンが奮闘するのが本作。イーサン演じる新米刑事は憧れの麻薬捜査課に配属されたものの、上司のベテラン刑事が悪徳だったからさあ大変! イーサンは本作の演技でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた。
娘が生まれたばかりという設定は、撮影当時ちょうどマヤが生まれた頃だったのかも…と想像すると、ほっこりする。

 大小スクリーンのほか、舞台でもトニー賞にノミネートされ、作家や脚本家(4度のオスカーノミネートのうち2回は脚色賞)、映画監督の顔も持つ多才なイーサン。小粒な良作だけではなく、マーベルの新ドラマシリーズ『Moon Knight(原題)』にも出演予定と、活躍の場は拡大する一方。日本で今月公開される『テスラ エジソンが恐れた天才』では、歴史に埋もれてしまった天才発明家二コラ・ステラのカオスな内面を、少々エキセントリックに好演。まさかの歌声も披露する。そんな彼とユマの魅力のハイブリッド、マヤとレヴォンが、これからどんな活躍を見せてくれるのか、想像を遥かに超えるものとなりそうだ。(文・寺井多恵)

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