本格女優デビューから10年目を迎えた剛力彩芽が、映画『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』で等身大の役柄にトライ。ナチュラルかつはつらつとした演技を披露している。
【写真】28歳の大人の女性の表情も美しい剛力彩芽
■7年ぶりの映画撮影は「ものすごく緊張」
結婚50年目を迎えた熟年夫婦が、葬儀社の青年・菅野(水野勝)と出会い、娘の亜矢(剛力)を巻き込みながら、人生整理に動き出す姿を描く本作。剛力にとって映画の撮影現場に飛び込むことは、2014年に公開された主演映画『L・DK』以来7年ぶりのことだった。
オファーが舞い込み、「親世代だけでなく、娘視点からも“お終活”を見つめることができる内容だと感じました。
クランクイン初日は「ものすごく緊張していた」そう。それをほぐしてくれたのも、橋爪と高畑だったという。剛力は「撮影初日は、家族の食卓のシーンでした。
彼らの芝居を間近で目にできたことも、貴重な体験だ。剛力は「橋爪さんは、少し動くだけでもその場の空気が変わるようなお芝居をされる。
■“人生百年時代”のモットーは「ずっとワクワク」個人事務所設立で心機一転
登場人物たちを通して、「“人生百年時代”をどう生きる?」と考える人も多いはずだ。剛力自身が人生を歩む上でモットーとして掲げるのは、「ずっとワクワクしていたい」ということだという。「直感を大事に、自分も周りも笑顔になれるようなことをしていきたい」。
「では今、もっともワクワクすることは?」と聞いてみると、「仕事! お仕事が楽しくて仕方がない!」と笑顔で即答。
昨年は個人事務所を設立して新たなスタートを切ったこともあり、「すべての責任を自分で負わなければいけない。そのプレッシャーも、心地よく感じています。独立した当初は“成長しなければ”と不安に駆られていた部分もありましたが、今は“社長としてはスタートしたばかり。知らないことがいっぱいあっても当たり前だ。今から勉強していけばいい”と思えるようになって。
剛力の笑顔を見ていても、充実ぶりがひしひしと伝わる。「“表現する”というこのお仕事が大好きなんです」と女優業含め、表現者として生きる道は「天職だと思っています」と力強く語る。
常に、良いタイミングで“転機”と思える出来事に恵まれている。剛力は「7歳でモデルになりたいと思って、10歳で芸能事務所に入ることができて。オーディションを受けても落ちてばかり…という時期もありましたが、そのすべてが自分の糧になっています。早い段階で好きだと思えるものに出会えたことが、なによりも幸せ」と目を細め、「中学生の終わり頃に『Seventeen』の専属モデルになり、高校生の終わりには月9(『大切なことはすべて君が教えてくれた』)の出演が決まって。さらに20歳で月9の主演をやらせていただきました(『ビブリア古書堂の事件手帖』)。いいタイミングで、背中を押してくれるような出来事が起きるんです」としみじみと語る。
昨年の12月から今年の1月にかけては、『No.9-不滅の旋律-』のステージに立ち、「コロナ禍という状況で、公演をかなえられたこともとてもうれしかったです。“強く生きる”という、今の時代にも伝えたいと思えるものが詰まっている舞台でした。健康、安全、安心を第一条件にしながら、お客さんの拍手を聞いたときには、ものすごく幸せな思いがして。“伝えたい、届け続けたい”と実感しました」。
また『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』を通しても、女優業の喜びを感じたといい、「“これからの人生をどのように過ごすか”というテーマを、明るく伝えられる作品。役者業の醍醐味(だいごみ)って、作品を観ていただいた方が少しでも笑顔になってくれたり、誰かの力添えになれるかもしれないということ。これからもそんな瞬間に携われたらうれしいです」と覚悟を語る。
本作では、熟年夫婦が結婚生活を見つめ直す姿も描かれる。剛力にとっての理想の結婚像は「両親のような夫婦」とのこと。
「お互いを尊敬し合って一緒にいる感じが、とてもステキだなと思って。2人とも“ありがとう”を伝え合う夫婦でもあります。私自身、両親からは“ありがとうを口にして、相手に敬意を払いなさい”と言われて育ちました。私がやっているこのお仕事は、一人では絶対にできないもの。周囲に感謝することの大切さを教えてくれた両親の存在は、本当にありがたいなと思っています」とにっこり。
28歳となった今、「結婚願望がぱったりとなくなった!」と笑いながら、「30歳が近づくにつれて、結婚に対して焦ったりするのかな?と思っていたんです。でも28歳になってみたら、ザーッとそれがなくなって。仕事も恋愛もすべて、今を生きて、今を楽しめばいいんだと思っています」と清々しく語る。今を精一杯に生きることが、未来につながる。そう確信する笑顔は、まぶしいほど輝いていた。(取材・文:成田おり枝 写真:高野広美)
映画『お終活 熟春!人生、百年時代の過ごし方』は5月21日公開。