吉高由里子が主演を務め、松下洸平、井浦新が共演するドラマ『最愛』(TBS系/毎週金曜22時)が、明日17日に最終回を迎える。オリジナル作品のラブサスペンスということで、先が読めないストーリーと役者陣の好演が話題を集め、回を重ねるごとにSNSやネットニュースで盛り上がりを見せている。

15年前と現在に起きた2つの殺人事件に翻弄される梨央に扮した吉高に話を聞くと、梨央を演じて感じたことや松下や井浦への思い、最終回の見どころなどを明かしてくれた。

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◆新井順子P&塚原あゆ子監督作品の人気の理由が分かった

 『アンナチュラル』『MIU404』(共にTBS系)を手掛けた新井順子プロデューサーと塚原あゆ子監督が再びタッグを組む本作は、殺人事件の重要参考人となった実業家の梨央と、梨央の初恋の相手で事件の真相を追う刑事・大輝(松下)、あらゆる手段で梨央を守ろうとする弁護士・加瀬(井浦新)の3人を中心に描くラブサスペンス。

 吉高は「始まる前は新井Pと塚原監督のファンが多すぎて、“2人の世界観を壊さないようにしないと”と怯えていて。期待値も大きいし、それによって自分のハードルやプレッシャーもすごく上がっていました」と回顧。だが、4ヵ月間現場を共にすることで、「みんながこの2人とやりたくなる理由が分かりました」と言い、「ちゃんと心に打ってくるような言葉で説明してくれるんです。今回、『最愛』というタイトル通り、各々の愛が同時に並行して動いているお話なので、同じシーンにいてもみんな愛の方向の矢印が違ったりして。『普通にこのセリフを言ったとしても、この言葉の裏にこういう感情があるんじゃないか』とか、『悲しいから悲しい顔じゃなくて、悲しいから笑った方がこの関係性は悲しくなるよね』など、技術的な話ではなくて、感情面を意識したお話をすることが多かったんです。だから、学ぶことが多くて。また、自分で自分の表情を見るのが怖かったので今回はモニターチェックもしなかったのですが、オンエアで『こういう顔してたんだ』と驚くことが度々ありました。すごく素敵な作品に関われてうれしいですし、本当にいい経験をさせていただいたと感謝しています」と感慨深い様子で明かす。

◆『最愛』は1人でちゃんと向き合って見たい作品

 放送直後には関連ワードがツイッターでトレンドに上がるなど、SNSを賑わせているが、吉高自身も「反響が如実にわかる作品でした」と言い、「普段連絡が来ない友達をはじめ、いろんな人から『すごく面白い』『先が気になる』など、連絡が来て。ネットニュースの記事もすごいですよね。
エゴサーチは怖くてしないけど、コメント欄ならまだ傷つかないかなと思って見たりしていました」と照れ笑い。

 それだけ多くの人に愛される本作の魅力を問うと、「誰もが心に抱えているものが、劇中の誰かが抱えているものに当てはまるんじゃないかなと思って。みんな自分の中に蓋をしておきたいものがあって、そういう生々しい、痛々しくもあるリアルな人間面が共感を得てる気がします」と分析。また、「ちゃんと気になるように作られていて、『次を見たい』と思わせる作品の力がありますよね。見てる人を巻き込んでくれる求心力のある、宇多田ヒカルさんの主題歌が中心にあるのも大きい」と口にし、「そういった全ての主張が強過ぎないっていうのもあるのかもしれないですね」としみじみ。

 SNSやネットニュースでは作品の満足度が高く、TVerやParaviなど見逃し配信もかなりの再生回数をたたき出しているが、「この作品は誰かと一緒に見るのもよいかもしれないですけど、1人でちゃんと向き合って見たい作品なのかなと感じています。みんなの満足度の数値が出ればいいのに」と茶目っ気たっぷりの笑顔で明かす。

◆松下洸平、井浦新、高橋文哉に助けられることも多かった

 そんな作品を主演として引っ張ってきた吉高。共演者や制作陣からは「太陽のように現場を照らしていた」と称されていたが、「自分が盛り上げようというより、自分が1番楽しんでやるぞっという気持ちは常にありましたね。楽しんだ分だけ、自分の中に深く刻まれる作品だと思うし、いっぱい自分の中に取り入れたかったんです」とニッコリ。また、「今回キャストの皆さんが本当にみんないい人で。スタッフさん同士も仲が良くて、みんな和気あいあいな感じが、全体的に和やかな空気につながっていました。
すごく居心地よくいさせてくれる環境を皆さんが作ってくれました」と周りに感謝する。

 共演者の中でも特に松下、井浦、梨央の弟・優を演じた高橋文哉とは共演シーンも多く、助けられることも多かったという。井浦が演じた加瀬は常に梨央を守る役どころだったが、「回数を重ねるごとに、加瀬の梨央を包み込む愛情がどんどん大きくなっていって。梨央はその“最愛”に甘えたり、苦しんだりしましたが、加瀬は本当に温かくて優しい」と感慨深い様子でコメント。

 高橋については「本当に20歳なのと思うくらい落ち着いている面もあれば、ピュアで真っ直ぐで素直でもあって。甘え上手さや人懐っこさもあり、自分にはないような母性本能をくすぐられましたし、弟がいるお姉ちゃんの気持ちにさせてくれたのも文哉くんの力です」と優しい表情で打ち明ける。

 そして、松下演じる大輝は梨央の恋の相手になるが、「大輝は無骨さやかわいさ、愛嬌、寂しさ、刑事として容疑者の梨央に関わっていかないといけない葛藤、仕事の立場が悪くなっても梨央との愛を育もうとする部分など、魅力的な部分がたくさんありますよね」と言い、「梨央と大輝は小さな幸せを見つけるのが上手な2人だなって思いながらやってました。松下さんは自分の居場所に帰ってきた感のある優しい声で、すごくホッとして。梨央として、その声の大輝に寄りかかって甘えて、支えになってもらっていました」と笑顔で振り返る。

◆最終回は胸がわしゃわしゃってなる

 そんな梨央と大輝の切ないラブシーンも本作の見どころだが、吉高に印象に残っているシーンを聞くと、「1話のラストと2話冒頭の梨央が大輝と15年ぶりに再会するシーンはやりながらヒリヒリしました。大ちゃんによくそんな顔で『初めまして』って言えるなって(笑)。やりながら“感じ悪いな”、『どこから話す?』って“そんな挑発的に言います?”って思ってましたね(笑)。
あと、5話の優が白川郷から連行されるシーンは苦しかったです。大ちゃんが後輩に頭を下げて、その場をつないでくれますが、3人の関係性が出ていたし、お父さんのエピソードを含めて、また違う最愛の形だったと思います」と回顧。

 また、撮影全体での思い出のシーンを問うと、1話の白川郷での撮影をあげ、「あの撮影が3ヵ月前と思えないぐらい、もう何年も前に感じます。みんなといた時間の濃度が濃ゆ過ぎて、1クールの作品とは思えなくて。みんなが愛情を込めて作品を育んでいたので、すごく充実していた時間でした。すごく密度が高い作品で、吉高由里子がやってるのではなく、梨央を生きていたと今は思います」と感慨深い様子で明かし、「終わってしまう寂しさはもちろんありますが、その寂しさが大きいほど、この現場が自分の体の細胞の中にも入ってきてたんだなと思うので、寂しさが大きいうれしさに変わりますよね」と充実した表情。

 いよいよ最終回では、梨央を取り巻くさまざまなキャラクターたちの“最愛”による行動が明らかになる。「最終回は、梨央を守ろうとするみんなの愛が詰まっていて、その結果こうなってしまったんだなって。その“最愛”の形に皆さん、胸がわしゃわしゃってなると思います。心して見てください」と感情溢れる声で語った吉高。梨央はどんな最愛の形を受け止めるのだろうか、しっかりと見届けたい。(取材・文/高山美穂)

 金曜ドラマ『最愛』最終回は、TBS系にて12月17日22時放送。

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