「テレビの番組作りがしたくて、テレビ局に入社したのに……」

 視聴率3冠王者の日本テレビ社員たちから、こんなため息が聞こえてくる。

「最近、日本テレビの管理職クラスの社員数十人に、スポーツクラブ『ティップネス』への出向の辞令が出た。

当然、断ればサラリーマンとしての未来はないわけです。局内の別の部署ならいざ知らず、まったく畑違いの業界では、もはや“テレビマン”ですらない。青天の霹靂の人事に、指名された社員たちは完全にやる気を失っていますよ」

 日本テレビホールディングスがスポーツクラブ大手「ティップネス」を350億円で買収したことを発表したのは、昨年12月のこと。それ以降、日テレ社員たちは「誰が貧乏くじを引くのか」と戦々恐々の日々を過ごしているという。

 「ティップネス」は、1986年にサントリーが設立。2014年1月末現在で61店舗、会員数は25万1,000人を抱える業界の最大手だ。


 とはいえ、なぜ日テレは異業種への参入に踏み切ったのか?

「2020年の東京五輪に向けた、局のPRのためですよ。放送事業のCM収入が先細りする中、健康関連事業は放送事業に次ぐ“第2の柱”になると、上層部は見ている。その目玉として検討されているのが、EXILEのメンバーによるダンス教室。さらに、その教室からEXILEの姉妹グループメンバーを誕生させることができれば一挙両得というわけです」(日本テレビ社員)

 だが冒頭のように、日テレ社員たちには“姥捨て山”のように受け取られている出向辞令。そんなモチベーションで、果たして新規事業を成功させることができるのだろうか?