吉本芸人の闇営業問題が波紋を広げている。

 カラテカ・入江慎也の口利きでの反社会組織への闇営業で、宮迫博之らが謹慎処分となったが、さらにスリムクラブ2700がモノマネ芸人の仲介で暴力団関係者への会合に参加してギャラを受け取っていたことも明らかになり、彼らも無期限謹慎処分となった。



 吉本は、「この度の件を受け、社員・タレントが一丸となってコンプライアンス遵守の再徹底を図ります」と〈決意表明〉を文書で発表し、再発防止を誓っていたが、

島田紳助引退の一件がありながら、結局、現状は何も変わっていなかった。今回も、ほとぼりが冷めた頃には、全く同じようなことが繰り返されるようになるでしょう」(お笑い関係者)

 その原因の一つは、お笑い芸人を取り巻く環境にある。

「芸能人は、タレントとマネジャーの“二人三脚”で成長していくものというイメージが、一般的には強いかもしれませんが、実は、芸人はその限りではありません。お笑い部門を持つ事務所はどこも所属・登録タレントが数多く、マネジャー一人で数十人もの芸人のスケジュールの管理を行っているところがほとんど。まともな売り込みも、個々の芸人へのアドバイスも、とてもできる状況ではありません。オーディションやネタ見せ情報をメールやラインで送るだけで、あとは自分で勝手に腕を磨き、勝手に売れてくれというスタイルがほとんどです」(お笑い関係者)

 なぜ、こんなにも芸人が増えているかというと、各お笑いプロ、大手プロには当たり前となっている「お笑い養成所」の存在がある。


「吉本なら『NSC』、ナベプロなら『ワタナベコメディスクール』、人力舎なら『スクールJCA』に、毎年、数百人が芸人を目指して入ってきます。その入学金や授業料が、事務所運営の大きな収入源となっています。一年後の卒業公演後、“足切り”がある養成所もありますが、吉本は見込みがなくても残りたければ“登録”という形で芸人を続けることができて、オーディションやネタ見せ、ライブ出演のチャンスがわずかながら残される。もちろん辞めていくものも多いわけですが、それでも“手難民”ともいわれる数百人が、毎年のように増えていくわけです」(同前)

 そんな中で力をつけ、ライブでは大ウケ、年に数回はテレビにも出られるようになったとしても、特に事務所のケアが良くなることもなく「勝手に売れろ」のマネジメント姿勢はなかなか変わらない。

「だから、特に若手で実力をつけてきた芸人は『事務所は何もしてくれない。俺たちは自分たちの力でここまできた』と思っています。
仕事が増えてきても、吉本はリアルにギャラの9割を持っていかれる。若手はCMに出てもギャラが1万円という現実もありますから、当然、そのレベルでは生活が成り立たない。闇営業で5万円、10万円がもらえるなら、自分の中でいくらでも言い訳が立ちますからね。今後、相手が反社かどうかには慎重になるでしょうけど、闇営業そのものは無くなりません。となれば、いつかまたこうした騒動が繰り返されるようになるでしょう」(同前)

 構造が根本から変わらない限り、〈決意表明〉は単なるお題目に終わりそうだ。