新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、“ウイルス禍”はついにニュースを伝える報道の現場にも波及した。17日、全国の地方紙や民放各局などにニュースを配信している「共同通信」がある文書を配布したことが、衝撃を広げているのだ。
「『新型肺炎で御報告』と題された文書で、国会内にある内閣記者会に加盟する各社宛てに送られたものです。16日に東京都が発表したウイルス感染者の一人であるハイヤー運転手が、1月末から2月初めてにかけての4日間、共同通信の社員を乗せていた事実が判明。同運転手のハイヤーに乗車した10人を自宅待機させていることを明らかにしたのです」(大手紙政治部記者)
関係者によると、文書は共同通信の編集局長と政治部長の連名で記されている。内閣記者会の加盟社宛てに送られたこともあり、ハイヤーに乗車したとされる10人の所属先について、さまざまな臆測が広がっているという。
「10人の中に『総理番』の記者が含まれていたのではないか――というウワサが出ているのです。『総理番』とは、その名の通り、安倍晋三首相の動向を追いかける担当。
共同配布の文書によれば、問題のハイヤーに乗車した10人のうち過半数がウイルスの潜伏期間とされる2週間を経過しており、発熱などの症状もないという。現在のところ、感染拡大で永田町が機能停止するという最悪の事態は起きていないが、今回の騒動によって、特殊な環境下にあるマスコミ内での感染拡大のリスクもあらためて浮き彫りになった。
「政治部記者や、検察・警察などの事件担当の社会部記者はハイヤーを常日頃から利用し、『夜討ち朝駆け』の取材に駆け回っています。さらに彼らが所属する記者クラブの詰め所は密閉された狭い空間で、感染リスクは格段に高い。
ミイラ取りがミイラに……ではないが、ニュースを伝える側がニュースになってしまっては、しゃれにもならない。最悪のシナリオが現実のものにならないよう、祈るしかない。