Paravi配信ページより

 8月21日、TBS系日曜劇場『オールドルーキー』の第8話が放送された。元サッカー日本代表という異色のキャリアをもつ新町亮太郎(綾野剛)の成長ストーリーはいよいよ“実りのとき”を迎えたようだが、一方で新町が働くスポーツマネージメント会社・ビクトリーの社長である高柳雅史(反町隆史)は不穏な影をのぞかせている。

海外強豪リーグへの移籍を渋る意外な理由

 今回は、ビクトリー所属で、日本バレーボール界では珍しいプロ選手である古川舞(田辺桃子)に世界最高峰イタリアリーグの強豪チーム・トリエステからオファーが来るところから始まった。この上ない絶好のオファーを暗い顔で断る古川の想いを、ビクトリー社員・深沢塔子(芳根京子)が中心となって紐解きながら、トリエステ移籍を果たすために奮闘していく。

 「これはビクトリーにとってビッグチャンスなんだ」と、否が応でもトリエステ移籍話をまとめたい高柳は、塔子に古川の説得を命じる。しかし、「アスリートの判断が間違ってることだってある」「彼女が世界で活躍することが日本のバレーボールを大きく進化させる」などと言い、選手の気持ちを蔑ろにする高柳の方針に反論する塔子。「深沢君が反論してくるとは……」と驚いた様子の高柳の言葉があったことからも、塔子の仕事に対する取り組み方がこれまでの新町の熱によって変わってきていることが分かるシーンだった。

 塔子は、第3話に登場した日本マラソン界のトップランナー・秀島修平(田中樹SixTONES)で自らが犯した失敗を思い返していた。秀島の意志を無視して強引に記者会見をさせたことで、会見は失敗に終わり、秀島との関係も一時的に亀裂が入ってしまったからだ。

そしてその秀島を説得し、第1話でも塔子が担当したプロサッカー選手・矢崎十志也(横浜流星)の信頼を掴み取った新町の「アスリートに寄り添う」姿に、いつの間にか大きく影響されていた。城拓也(中川大志)や梅屋敷聡太(増田貴久)だけでなく、秘めた熱さを解放しつつあるビクトリー社員がここにもいたのだ。

 古川説得のために新町、塔子らは古川が現在所属する東京ウインディアのもとを訪れることに。そこにはコーチ・宮野紘也(大谷亮平)と古川の姿があった。古川は過去にもトルコで海外に挑戦したことがあったが、知り合いもいない、言葉もわからない環境で実力を発揮できず、1年で帰国。その後も自信をなくし、調子を崩していたところを、わざわざ現役選手からコーチに立場を変えてまで古川を導き、“復活”させたのが宮野だった。

 その宮野がキーマンだったことに、驚いた視聴者も多かったことだろう。古川にイタリア行きの二の足を踏ませていたのは、かつてのトルコでの失敗の経験による不安以上に、宮野に恋愛感情を抱いていたからだった。当然そんな事情を知らない宮野は、古川が想像よりも早く海外強豪リーグからスカウトされていることに戸惑い、何も相談されなかったこともあって、古川に「行けばいいじゃないか」「俺はお前を止めない」と突き放すように言ってしまう。

 宮野に見放されたと感じた古川は「失恋しちゃいました」と塔子に打ち明けるが、塔子はどうアドバイスすべきか悩む。ここで再び活躍したのが新町だ。「アドバイスじゃなくて、もう一度同じ目線になって向き合ってみようよ」と言い、プライベートに踏み込むべきではないのではとためらう塔子に「もっとアスリートに踏み込んじゃえばいいじゃない」「スポーツマネージメントはアスリートの気持ちに寄り添うものでしょ。

アスリートだって一人の人間なんだから」と助言するのだ。ビクトリー社員それぞれが「すべてのアスリートにリスペクトを」を体現するためのアシストを数々こなしてきた新町は、もはやビクトリーにとっての灯台のような存在になっていた。ストーリー中盤で古川の移籍を強引に決めてしまおうとスカウトとの面接の場を勝手に用意した高柳に対しても、真っ向から反論していたように、新町さえブレずにいれば、ビクトリーはスポーツマネージメントの本質を見失わずにいられる。新町はそんな存在にまでなっていると感じさせられた。

 新町の言葉を受けて、塔子はふたりがちゃんと話し合うよう奔走。宮野には「ダメならダメでいいんです。

古川さんの気持ちに応えてあげてもらえないでしょうか」と説得し、古川に「正直これが正しいかわかんないんだけど……とにかく今のままじゃダメだと思って」と思いを伝え、体育館に行くよう頼む。待っていた宮野は「頑張れとは言ったけど……お前のことが心配だ」「東京ウインディアがリーグ優勝を決めたら、俺もイタリアに行ってやる」と古川のイタリア挑戦を支えることを告白。「俺はずっとお前を支えていたい」という宮野の言葉を受けて、古川はめでたくトリエステと契約を結ぶという締めくくりとなった。

二重人格じみてきた高柳

 今回も、高柳が壁として立ちはだかり、新町たちがそれを乗り越え、見事にビクトリーの理念を全うした。アスリート、マネージャー側それぞれの事情は話ごとに異なりはするものの、ここ数回は必ず、冷徹な判断を下す高柳に対しビクトリー社員が「すべてのアスリートにリスペクトを」という会社の理念を持ち出して反論し、新町の協力を得て解決していく……という展開が共通して続いており、ワンパターン気味なのが気になるところだ。

 一方で、高柳の描かれ方も引っかかる。

新町の妻・果奈子(榮倉奈々)絡みでは相変わらずコミカルでかわいらしい姿を見せるものの、特にこの第8話では、新町に対する敵対心のようなものをのぞかせ、これまでになく強引さを振りかざすなど“悪役”感を強めていたため、果奈子の料理本について語る高柳の姿に唐突感が否めなかった。やや二重人格じみてきた高柳は、新町が所属タレントを引き抜いて独立するのではと危険視しているようだが、いったい何が彼をそんなに不安にさせるのだろうか。スポーツマネージメントの精神を忘れていないような描写もこれまでにはあったが、そろそろ高柳を単純な“理解のない社長”とするのではなく、新町によってビクトリー社内が変化しつつあることをなぜそこまで警戒しているのか、その背景をしっかり描いてほしいものだ。

 第8話では、新町が新たに担当するアスリートとして、パリオリンピック代表候補のトップスイマー・麻生健次郎(渡辺翔太/Snow Man)が登場したが、8月28日放送の第9話では彼に突如降り掛かった“ドーピング疑惑”が物語のメインとなるようだ。引退危機となる麻生を守りたい新町と、早々に契約を解除したい高柳。アスリートの未来を巡る2人の考えのぶつかり合いは、ドラマの結末に関わる重要なストーリーとなるかもしれない。

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日刊サイゾー2022.07.10

■番組情報
日曜劇場『オールドルーキー
TBS系毎週日曜21時~
出演:綾野剛、芳根京子、中川大志、岡崎紗英、増田貴久、生田絵梨花、稲垣来泉、泉谷星奈、高橋克実、榮倉奈々、反町隆史 ほか
脚本:福田靖
音楽:木村秀彬
主題歌:King Gnu「雨燦々」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
協力:Jリーグ、公益財団法人 日本サッカー協会
サッカー監修:大久保嘉人
料理監修:Mizuki
編成:東仲恵吾、高橋秀光
プロデュース:関川友理、松本明子
演出:石井康晴
製作著作:TBSスパークル、TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/OLDROOKIE_tbs/