元弁護士の女探偵・上水流涼子(天海祐希)が、IQ140の頭脳をもつ貴山伸彦(松下洸平)を相棒に、現代の“あり得ない”敵を“あり得ない”手段で成敗する極上痛快エンターテインメント『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~』(フジテレビ系)。5月1日放送の第3話は、“予知能力者”を自称する謎の男との異種格闘技戦が繰り広げられ、互いの腹を探り合うスリリングな展開となった。
物語の発端となる依頼人・本藤朝子(神野三鈴)は、諫間慶介(仲村トオル)からの紹介でやってきた。第2話で諫間の娘・久実(白石聖)を救った恩義もあってか、金に困っているだろうと涼子に仕事を回す旨を伝えていたが、さっそく実行されたかたちだ。とはいえ諫間は、涼子にとって「殺したいリスト、ナンバーワン」という因縁の人物。諫間の紹介と聞くと涼子はすぐにお引き取り願おうとしたが、貴山のアシストで話を聞くことになり、自称・予知能力者に心酔する息子の目を覚ましてやってほしいという依頼内容と、朝子が歴史のある建設会社で、息子はその社長という“金の匂い”に釣られ、結局引き付けることに。
社長の座を継いで間もない息子・仁志(笠原秀幸)は何かあるとすぐに会長である母親に相談していたが、自立してほしいと叱ったところ、予知能力者を自称する怪しい男・高円寺裕也(高橋克実)を頼るようになってしまったという。仁志はすっかり高円寺の能力を信じ切り、コンサルティング契約すら結ぼうとしていた。朝子はそれに反対しており、高円寺の化けの皮を剥いでほしいと望んでいるのだ。
これだけでも明らかに怪しい話だが、警察官の丹波勝利(丸山智己)からの情報で、高円寺はやはり詐欺師であると確信。半年ほど前から同様の手口で経営者らに近づき、契約コンサルタントとして契約し、金を手にした途端、姿を消すということを繰り返していた。和装姿の予知能力者という、明らかに胡散臭い高円寺を演じたのは高橋克実。誰もが詐欺師では?と思ってしまう役柄だけに、一歩間違えれば作品を白けさせかねないが、人当たりの良さを見せながら、作り笑顔で怪しさがちらつくあたりの絶妙な胡散臭さ加減と、それでいて涼子や貴山もすぐに見破れない“トリック”で堂々と予知能力者然として振る舞う姿は、長年バイプレーヤーとして活躍してきたベテラン俳優の味が効いていた。
高円寺は、クラブで次に店に入る客のプロフィールをずばり当てたり、生放送のボートレースの結果を予想してみせ、涼子たちは苦戦。
タイトルどおり“合理的”に予知能力の嘘を見破り、1000万円もの成功報酬を手にした涼子。1話完結らしい終わり方になると思いきや、エンディングでは貴山の見えざる部分にスポットライトが当たった。IQ140、恋愛経験ゼロ、そして裏社会の住人である有田浩次(中川大輔)とは古い友人という、謎めいた貴山。父らしき人物が意識不明で寝ている病室を訪れた貴山は、涼子に「今どこ?」と訊かれても居場所を誤魔化していた。そしてそのことにすでに気がついている涼子。
第3話で気になった部分はもうひとつ、それは序盤で久実が手にしていた花瓶だ。涼子の探偵事務所で働くこととなった久実に諫間が就職祝いとして贈ったものだが、若者向けとは到底思えない無骨な佇まい。前話で諫間が見せた抜け目のなさから、花瓶には盗聴器が仕込まれているのではないだろうか。涼子と諫間の関係は雪解けとはほど遠いだけに、今後も涼子を利用しようとして手を打ってくる可能性は十分あるだろう。前話で諫間は、久美が結局家を出てしまったため「久美を連れ戻す」オーダーを達成できていないからと難癖をつけて報酬の支払いを拒み、代わりに客を紹介してやるとしていたが、それもすべて最初から諫間の思惑だったのかもしれない。しかしそのあたりは、諫間の性格を知っている涼子も承知のうえのはず。今のところほとんど役立たずな久実を事務所に迎え入れたのには、対・諫間のための涼子の計算も働いていそうだ。
第4話は、涼子が初めて探偵として受けた依頼の話になるようで、涼子と貴山の出会いも描かれるようだ。この“過去編”は、第3話でほのめかされた貴山の事情ともつながるのだろうか。今夜の放送が楽しみだ。
『合理的にあり得ない』仲村トオルは悪役フラグ? 思い出されるあの伝説的ドラマでの黒幕 4月24日、カンテレ・フジテレビ系ドラマ『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~』の第2話が放送された。主人公・上水流涼子(かみずる・りょうこ)の過去の因縁が...
■番組情報
月曜ドラマ『合理的にあり得ない ~探偵・上水流涼子の解明~』
フジテレビ系毎週月曜22時~
出演:天海祐希、松下洸平、白石聖、中川大輔、丸山智己、仲村トオル ほか
原作:柚月裕子『合理的にあり得ない 上水流涼子の解明』(講談社文庫)
脚本:根本ノンジ
音楽:眞鍋昭大
主題歌:ざきのすけ。「彼は誰どき」(ソニー・ミュージックレーベル)
プロデューサー:萩原崇、清家優輝
演出:光野道夫、二宮崇、倉木義典
制作協力:ファインエンターテイメント
製作・著作:カンテレ
公式サイト:ktv.jp/arienai