安室奈美恵(写真/Getty Imagesより)

 2018年9月に引退した安室奈美恵さんの楽曲が、16日ごろに予告なく各サブスクサービスで一斉に配信停止となり、公式YouTubeチャンネルの動画などもすべて削除されたことでファンから悲鳴が上がっている。現在のところ、配信が再開することはあるのか、あるならいつごろなのかといったことは不明で、ネット上では「サブスクはこれがあるからダメ」「やっぱりCDで手元に置いておかないと」といったサブスクサービスそのものを疑問視する声も噴出している。

 安室さんの楽曲は、SpotifyやApple Musicなどのサブスクサービスで配信されていたが、16日ごろから他のアーティストとのコラボ曲などを除き、軒並み配信停止になっていると話題に。ミュージックビデオなどを配信していた公式YouTubeチャンネルも削除されたようで、「このチャンネルは、現在ご利用いただけません」と表示されてアクセスできない状況になった。

 この事態に対して、ネット上のファンは「何が起きてるの?」「もうサブスクじゃ聴けないのか」「配信停止前に告知くらいしてほしかった」などと混乱。理由について公式のアナウンスはないが、複数の報道で関係者の話として「契約の見直しと重複する楽曲(リミックス等)の整理」のためだと説明されている。

 安室さんについては、引退後に故郷の沖縄で自身の名前を冠した花火ショーが毎年開催されていたが、ショーは「引退してから5年間」の約束で行なわれていたため、今年9月の開催が最後になった。同じように、引退してから5年のタイミングで楽曲の契約関係なども見直しになり、その影響でサブスク配信やYouTubeチャンネルが停止になった可能性がありそうだ。

もしそうなら、新たな契約が成立しなければサブスクでは配信停止のまま……というおそれもある。

 この異例の状況を受けて、反響は安室さんのファンに限らず、音楽ファン全体に広がった。SNS上で「サブスクは突然聴けなくなるから、やはり好きなアーティストの曲はCDで持ってないと怖くてダメだな」「私がサブスクやデジタル盤を信用してないのはこういうとこ」 「サブスクは消えたらそれで終わりだからなあ……やっぱり物理CDこそが最強」「iTunesとかのダウンロード販売からも消えてるし、デジタルに頼り切るのは問題」といった声が相次いでいるのだ。

 現在、音楽の視聴スタイルはサブスク全盛となり、CDの再生機器すら持っていない人が増えたことで、CDショップの閉店が全国で相次いでいる。TSUTAYAの旗艦店である渋谷の「SHIBUYA TSUTAYA」が10月末から改装工事に入り、それを機に店舗でのCDレンタルサービスを終了させたことも「CDの終焉」を象徴する出来事だといわれた。

 しかし今回の騒動をきっかけに、サービス側の都合による急な配信停止もあり得る「サブスク依存」の危うさを実感した人は多そうだ。

そういう意味では、音源を確実に手元に残せるCDの価値が見直されるかもしれない。