目下、世間は大谷翔平の話題で一色だが、日本のプロ野球もいよいよ29日に開幕。スポーツ紙やスポーツニュースでは盛んに順位予想が行われている。
「セ・リーグは昨年、日本一になった阪神の連覇を予想する評論家が多くなっています。目立った補強はありませんが、昨年の主力はすべて元気で、若手も成長している。FAやトレード、外国人などで強力に補強したチームは見当たらず、連覇の期待が高まっています。パ・リーグは3連覇中のオリックスを押しのけ、多くの評論家がソフトバンクを本命に挙げています。オリックスは何と言っても大エースの山本由伸がいなくなったのがイタい。さらに山崎福也も移籍し、2人合わせて27勝分の穴を埋める必要があります。
シーズン前、あれやこれやと理由を述べながら順位予想をするのは野球ファンの醍醐(だいご)味。その際ひとつの材料となるのがプロの予想だが、「評論家」という肩書とは裏腹に、その内容は到底信用に足るものではないという。
「評論家の順位予想は、まず自分がいたチームを1位に推すのが基本。最低でもAクラスには入れます。一口に野球評論家といっても、よほど大物でない限り、古巣球団の仕事が中心なので、そこを下位予想するわけにはいかない。
それゆえ、的中率も“酷いもの”だという。
「両リーグ6球団ずつで、全部で12球団しかないのに、優勝チームを的中させる評論家は非常に稀。優勝予想したチームがビリになるのは当たり前ですし、AクラスとBクラスがほぼ真逆という酷い結果になる評論家も毎年います。2021年は前年度最下位のヤクルトとオリックスが優勝しましたが、片方でも的中させた評論家は一人もいませんでした。いくら評論家といっても、全12球団を網羅するのは至難の業。特定チームの情報の専門家になるのが評論家として生き延びる道なので、他のチームのことは意外と知りません。
ただ、盛大なハズレっぷりまで含めて面白いのが順位予想。それなら、野球と並ぶ人気スポーツのサッカーは、なぜここまで順位予想が盛り上がらないのか?
「一部のスポーツ紙や専門誌はJリーグの順位予想企画をやりますが、J1は20チームもあるので、すべての順位を予想するのは難しすぎる。上位に行きそうなチームと下位に沈みそうなチームを考えて、あとは正直“カン”でしょうね。また、Jリーグには降格があり、降格チームを名指しで予想することになるので、何かとアヤがつきやすい。
今のうちに順位予想を保存しておいてシーズン後に振り返ってみると、“良い評論家”が分かるかもしれない。