視聴者のアレルギー反応をよそに、この戦略は大成功となっているようだ。
4月より、日本テレビでは夕方のニュース番組『news every.』に女優の桐谷美玲がキャスターに、看板番組『news zero』には俳優の波瑠、板垣李光人、シシド・カフカが曜日レギュラーにそれぞれ就任。
芸能人がニュース番組に抜てきされたことについては、「なぜ自前のアナウンサーを使わないのか」「情報番組はまだしても報道番組に芸能人は不要」といった批判も目立つ。
「日本テレビが報道番組にタレントを抜てきしているのは、近年、スポンサーが重要視しているコア視聴率(局によって定義は異なるが13歳~49歳の個人視聴率)を獲得するための戦略です。夜の報道番組でトップをひた走る『報道ステーション』(テレビ朝日系)がどれだけ高い視聴率を取っていても、コア視聴率自体は低いため、スポンサーからはまったく評価されていません。まんべんなくさまざまな層に視聴されるためには、潜在視聴率の高いタレントを起用するのが手っ取り早く、日テレは文化人や有識者よりもタレントが有益だと判断し、いち早く舵を切ったというわけです」(テレビ関係者)
その効果は早くも如実に現れているという。
「報道番組は番組の性質上、一社提供など特定のスポンサーがつくことができず、スポットCMが収入源となる。実際、ニュース番組全体の売上では日本テレビが独走の勢いとなっており、このままいけば他局とは年間で数十億円もの差がつくほどだとか。今後は他局も右に倣えとばかりにタレント起用に踏み切り、ワイドショー化していく流れが進むことが予想されます」(前出・テレビ関係者)
海外の報道番組とのクオリティの違いが指摘されることもしばしばだが、その差は広がっていくことになるのか。