香取慎吾草なぎ剛稲垣吾郎の3人による「新しい地図」の活動は順調で、木村拓哉は1月から主演ドラマがスタート、中居正広もTBS系の平昌冬季五輪メインキャスターが決まり、それぞれが動き出している。しかし、SMAPファン、ジャニーズファンにはSMAPロスを嘆く者が少なくない。



 今回登場してくれたのは、SMAP結成前からのファンで、「人生の半分以上をSMAPと一緒に過ごしてきた」というD子さん(42歳)。

 出版関係の仕事に従事し、本人たちに取材した経験もあるそう。そんな近い場所から彼らを見守ってきたD子さんに、今の「SMAPロス」を聞いた。

――SMAPファンになったきっかけは?

D子さん(以下、D子) 小学生の頃、光GENJIがとにかくはやっていて。そこからテレビで見るSMAPメンバーに惹かれ、流れた感じです。

――SMAP以外にジャニーズで好きなグループは?

D子 SMAPから降りたことはありませんが、ほかに好きなのは、いわゆる「飯島班」ですね。
特に、A.B.C-ZはSMAPのデビュー当初に似た雰囲気を感じるので好きです。デビュー当時舞台をたくさんやっているところとか。A.B.C-Zの場合は、『ザ少年倶楽部』(BSプレミアム)の収録を見に行ったのがきっかけで、河合郁人くんに一目惚れしました。神経質そうで、よくしゃべる感じが、中居正広さんに通じるのかも。Kis-My-Ft2北山宏光さんはちょっと強すぎるんですよね。SMAPのコンサートにA.B.C-Zが来ていたのを見たこともあります。
河合くんは、昨年の大阪城ホールのコンサートのソロで「夜空ノムコウ」を歌ったんですよ。「僕もSMAPのように、スーパースターになりたい!」と言って……。騒動以降、初めて本当に泣きました。今思えば、河合くんがSMAPファンじゃなければ、好きになっていなかったかもしれないです。

――現在のSMAPロスはどんな症状ですか。

D子 正直、今は以下のジャニーズグループを見るのもキツイし、不快です。
航空会社もそれで選ぶくらい。ギリギリ旧飯島班だったKis-My-Ft2とSexy Zoneは、なんとか大丈夫かなって感じですが「事務所、潰れないかな」と思います。でも、その一方で、潰れたらA.B.C-Zが困るし、気持ちのバランスを取るのが難しい。一番しんどかったのは、『ジャニーズカウントダウンコンサート2016-2017』。「ありがとうSMAP」なんて言ってて、「葬式かよ! お前らが言うなよ!」という怒りが湧きました。すごく悲しかった。
それを言ったのがSMAPにとっては先輩にあたる岡本健一くんだけだったら、まだ良かったけど、ほかの人が言うのは許せなかったですね。

――一連の派閥問題、SMAP解散騒動をどのように見ていらっしゃいましたか。

D子 派閥問題って、実際には同じ会社内の事業部制くらいのことだったと思うんですよ。うまくいっているときは、何も問題なかったんです。阪神淡路大震災へのチャリティーの一環として、関西出身者がいるグループで「J-FRIENDS」が作られたときは、疎外される違和感はありました。でも、「SMAPはビッグすぎるから入らないのか」とも思っていて、売れていたからハブられてもよかったんです。
それが、なぜ対立関係になってしまったのか。結局は、お世継ぎ問題が発端なんですよね。



――SMAPは他グループと並ぶことのない、別格の存在でした。そこに、あこがれを抱くファンや後輩も多かったと思います。そんなSMAPが東日本大震災復興支援プロジェクトの「Marching J」に来てくれたときは、頼もしく、ワクワクしました。

D子 そうですね。
でも、今になって思えば、それが始まりで、終わりだったんですよね。

――SMAP解散後、ファンとしての活動はどのように変化しましたか。

D子 ジャニオタさんたちのTwitterアカウントは見なくなりました。SMAPファンのツイートを見るのもつらいです。でも、一番つらいのは、SMAPファンの仲間内の亀裂ですね。20年くらいの間、ずっと一緒にSMAPのコンサートに行っていた6~7人のグループがあって。年齢も職業も違う人たちが、結婚や出産など、人生のいろんな節目があってもずっとうまくやれていたのに、SMAP解散を機に空中分解してしまって。ブログやLINEのやりとりがおかしくなったり、連絡を取らなくなったり。

――他グループファンとでなく、SMAPファン同士でも揉め事が……?

D子 SMAPと嵐のファンを兼ねている「スマあら担」がいたんですが、その子を攻撃する人がいて……。嵐が悪いわけじゃないことはみんなわかっているけど、叩くんです。でも、自分の好きなもの(SMAP)があんな結果になってしまったせいで、私も正直、今は嵐ファンがはしゃいでいるのを見るのはしんどいです。あとは、SMAPファン同士でも意見が違うんですよね。それで対立したり。同じファン同士、なぜこんなにいがみ合うのかと、切なくなります。それでいて、若いSMAPファンが騒いでいるのを見ると「小娘がなにもわかってない…… 」と思ったり、他グループのファンがSMAPについて語るのを見ると「黙れ!」と思ったりします。そして、そんな不愉快な感情になってしまう、心の狭い自分も嫌で。このロスの気持ちは、SMAPファン同士であっても、誰とも分かち合いたくない。自分の問題ですから。だから、感情にフタをして、できるだけ見ないように、考えないようにしています。

――SMAPメンバーの今後の活動に期待するのは、どんなことですか。

D子 実は森且行くんの脱退のとき、あまりにつらすぎて、しばらく距離を置いたこともあったんです。それでもSMAPファンを降りたことはなかったので、この先も、なんとかなるんじゃないかという思いはあります。その一方で、なんともならないかもしれないとも思っています。



――新しい地図の活動については?

D子 新しい地図へのワクワク感は、SMAPとは別のワクワク感です。ある意味、いびつだし、現実から目を背けているわけで、それでSMAPロスが埋まるものではないですよ。ただ、新しい挑戦をする人たちを応援したい気持ち、新しい挑戦を見せてくれる飯島三智ねえさんの挑戦に対するワクワクはあります。

――ジャニーズ事務所、あるいはジャニー社長に伝えたいことはどんなことですか。

D子 事務所は潰れてほしいけど、ジャニーおじいちゃんのやることは、やっぱり好きなんですよ。どんなに問題のある人物だとしても、おじいちゃんのクリエイティビティには何の疑問も抱いていないです。それに、あのとき「SMAPは解散しない」と言ったのも、おじいちゃんの本当の気持ちだったと思います。ただ、騒動の中で、おじいちゃんは正直、蚊帳の外だったんじゃないかなって。もともと、自分が作り出すモノと男の子にしか興味のない人が、同じようにモノを作り出す飯島さんを気に入って、一番大事なモノ(ジャニーズJr.)を預けていたわけですし。そこが今回の騒動の発端といえば発端だったので。

――SMAPメンバーに伝えたいことはどんなことですか。

D子 伝えたいことは特にありません。いつか、また結成すれば良いなとは思いますが、ここ数年のうちにとか、そんな希望はまったく持ってません。東京五輪のパラリンピックでの再結成? 2年後ですよ、無理でしょ? 希望は抱かないようにしています。
(田幸和歌子