デビューシングル「シンデレラガール」の売り上げが累計70万枚を超え、絶好調のKing&Prince。そんな彼らの横浜アリーナで行われたファースコンサートツアーに参戦してきた。



  King&Princeは、Mr.KingとMr.Princeの3人ずつに分かれて活動してきた時期があること、どちらも人気ユニットだったことから、ジャニーズJr.時代のオリジナル曲が豊富にあり、デビュー後も曲を多数作ってもらっている。今すぐにでもアルバムが作れそうな、恵まれた状況下で、おまけにコンサートの衣装もセットも豪華だ。

その「機が熟した」感のあるデビューツアーは、眩いきらめきとともにさまざまな悲劇を伴って誕生した他グループなどのファンが見たら、ちょっぴり羨ましがるのではないかと思うくらいの安定感があった。はやりモノ好きの新規ファンも大量に味方につけ、親族や古くからの友人などにも祝福されて結婚した、幸せなカップルの門出のようにも見えた。

  そんな彼らのツアーについては、スポーツ紙などがこぞって記事にしているだけに、ここでは別の角度から、バックについたJr.たちについてレポートしてみたい。

 まず驚いたのは、ジャニー社長が現在ご執心のJr.たちは、HiHi Jetsと東京B少年が公演中の『夏祭り! 裸の少年SUMMER STATION』のバックにつくだろうと思っていたのに、フタを開けてみたらキンプリのステージに出ていたこと。
(『夏祭り! 裸の少年SUMMER STATION』の日程表をよく見ると、この期間の公演につくJr.は確かに明記されていない)。

  バックについたのは、ヴァサイエガ渉や川崎皇輝をはじめ、歌やダンス、アクロバットなどに長けたデキる子たちの集団「少年忍者」。中村嶺亜と、『炎の体育会TV』(TBS系)でKAT-TUN・上田竜也率いる陸上部で活躍する、「天才Genius」「Classmate J」などの運動神経が良い子が揃っている「7MEN侍」。こちらは特技のスケボーを披露するほか、バックバンドとしても活躍していた。



 なかでも嶺亜は、岸優太神宮寺勇太岩橋玄樹などと一緒に、かつてSexy Zoneのバックを務め(通称・セクバ)、シアタークリエでのJr.公演『ジャニーズ銀座』では、KINGの3人と共に4人で公演を行ったこともある。しかも、雑誌「Myojo」(集英社)が行うJr.の人気投票企画において、「恋人にしたいJr.」部門で常にトップ10に入っている人気Jr.だ。


 人気だけでも、実力だけでも、デビューできるわけじゃない、まして「仲良しこよし」が通用するわけじゃない芸能界。とはいえ、そんな彼が、かつての仲間たちのバックダンサーとしてニコニコ楽しそうに踊り、周りをスケボーで走り、楽器まで演奏している姿を見ると、なんだか胸が熱くなった。

 そして、もう1つ胸が熱くなったのは、「ジャニーズJr. SP(スペシャル)」に、歌唱力の高さでかつて注目されていたJr.の金田耀生が加わったこと。「ジャニーズJr. SP」は、7月の公演『裸の少年』では4人組だったのに5人に増え、名前も「スペシャリスト」から「スペシャル」に変わっている。

金田は、かつてHiHiの井上瑞稀橋本涼とともに、『滝沢演舞城』などで活躍してきた、通称「ちび6」と呼ばれる若き技能集団のメンバーだった。しかも、「ジャニーズJr.SP」には、かつての「ちび6」仲間で、アクロバットにおいてはSnow Man・宮舘涼太佐久間大介などに続く、次世代エース職人の林蓮音がいる。


私大の附属高校に通っていると言われる金田が、しばらく表舞台に出てこなかったのは、おそらく学業優先だったのだろう。内部進学が決まったタイミングで復帰したのではないかと思うが、もちろんこれは臆測にすぎない。

それにしても、歌のスペシャリストとアクロバットのスペシャリストが、こんなかたちで合流する日がくるとは、正直思わなかった。憎いよ、ジャニーさん。

 嶺亜も金田も林も、かつての仲間たちはデビューしたり華やかなユニットに所属したり、退所してしまっていたりと、別々の道を歩んでいる。しかし、不遇に見える時期があっても、辛抱強く見守っていくと、思いがけないタイミングで浮上し、日の目を見ることがあるのだから、応援せざるを得ないのがJr.ファンの心情だろう。


 ちなみに、この日、「少年忍者」よりもさらに小さなピヨピヨの少年たちがたくさんいるようにも見えた(バックの子たちはスクリーンにあまり抜かれないので不確かだが)。もしかして、いきなりの「YOU出ちゃいなよ」最新版だろうか。

 人気者として旅立ったKing&Princeのバックに見え隠れする、さまざまなJr.たちの姿に、ジャニーさんの最近の絶好調ぶりを見た。
(田幸和歌子