写真ACより

 2023年も残すところあと1カ月半、今年も映画館ではさまざまな作品が上映され、多くの観客を魅了した。映画ファンの間では、興行収入に基づいた国内映画ランキング(興行通信社)も注目され、公開初週は特に、ロケットスタートを切った作品は何か、づまずいてしまった作品は何かがネット上で大きな話題になる。

 今回は、2023年に大規模上映(300館以上)された日本映画を対象に、初日3日間の興行収入をランキング化。ぶっちぎりの1位になった作品、一方で下位に沈んでしまった作品をチェックしていこう。

2023年公開の日本映画(大規模上映作品)初動ランキング【12月31日最新】

1位:『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』(4月14日公開)378館 31億4600万円

2位:『君たちはどう生きるか』(7月14日公開)385館 16億2600万円

3位:『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』(12月22日公開) 12億2400万円

4位:『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』(2月3日公開)377館 11億5900万円

5位:『キングダム 運命の炎』(7月28日公開)376館 10億5100万円

6位:『ゴジラ−1.0』(11月3日公開)376館 10億4100万円

7位:『劇場版TOKYO MER 走る緊急救命室』(4月28日公開)364館 7億9200万円

8位:『映画ドラえもん のび太と空の理想郷(ユートピア)』(3月3日公開)380館 6億6300万円

9位:『わたしの幸せな結婚』(3月17日公開)313館 6億5400万円

10位:『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦』(6月30日公開)361館 6億500万円

11位:『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命』(4月21日公開)361館 5億8300万円

12位:『シン・仮面ライダー』(3月17日公開)375館 5億4200万円

13位:『ミステリと言う勿れ』(9月22日公開)360館 5億2100万円

14位:『レジェンド&バタフライ』(1月27日公開)376館 4億9700万円

15位:『翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて』(11月23日公開)373館 4億1500万円

16位:『しん次元!クレヨンしんちゃんTHE MOVIE 超能力大決戦 とべとべ手巻き寿司』(8月4日公開)366館 4億100万円

17位:『沈黙の艦隊』(9月29日公開)332館 3億7000万円

18位:『怪物』(6月2日公開)341館 3億2500万円

18位:『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』(9月8日公開)324館 3億2500万円

20位:『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(12月8日公開) 3億2200万円

21位:『首』(11月23日公開)353館 2億6100万円

22位:『アナログ』(10月6日公開)312館 2億5200万円

23位:『イチケイのカラス』(1月13日公開)332館 2億3600万円

24位:『シャイロックの子供たち』(2月17日公開)346館 2億2600万円

25位:『Gメン』(8月25日公開)338館 2億1000万円

26位:『映画 仮面ライダーギーツ 4人のエースと黒狐』(7月28日公開)339館 2億800万円

27位:『映画ネメシス 黄金螺旋の謎』(3月31日公開)346館 2億円

28位:『こんにちは、母さん』(9月1日公開)359館 1億8100万円

29位:『法廷遊戯』(11月10日公開)345館 1億6900万円

30位:『交換ウソ日記』(7月7日公開)333館 1億6400万円

31位:『ゆとりですがなにか インターナショナル』(10月13日公開)325館 1億3400万円

32位:『湯道』(2月24日公開) 312館 1億3300万円

33位:『おまえの罪を自白しろ』(10月20日公開)346館 1億1900万円

34位:『キリエのうた』(10月13日公開)347館 1億1300万円

※初日3日間の興行収入が不明の『金の国 水の国』(1月27日公開)『仕掛人・藤枝梅安』(2月3日公開)『仕掛人・藤枝梅安2』(4月7日公開)『聖闘士星矢 The Beginning』(4月28日公開)『最後まで行く』(5月19日公開)『大名倒産』(6月23日公開)『それいけ!アンパンマン ロボリィとぽかぽかプレゼント』(6月30日公開)『リボルバー・リリー』(8月11日公開)『SAND LAND』(8月18日公開)『禁じられた遊び』(9月8日公開)『BAD LANDS バッド・ランズ』(9月29日公開)『怪物の木こり』(12月1日公開)『映画 窓ぎわのトットちゃん』(12月8日公開)『屋根裏のラジャー』(12月15日公開)『仮面ライダー THE WINTER MOVIE ガッチャード&ギーツ 最強ケミー★ガッチャ大作戦』(12月22日公開)を除く

2023年公開の日本映画、初動の上位4作はすべてアニメ

 第1位は、『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』(4月14日公開)で31億4600万円。同作の劇場版シリーズは毎回大ヒットを飛ばすが、今回は作中屈指の人気キャラクター・灰原哀をメインに据えたところ、歴代トップのスタートを切った。最終興行収入は138億3000万円で、日本国内の歴代映画興行収入ランキングで第18位につけている。

 第2位はスタジオジブリ・宮崎駿監督の10年ぶりの新作『君たちはどう生きるか』(7月14日公開)で16億2600万円。公開前までストーリーや声優陣を一切明かさないという宣伝手法が話題になった。

初動は2位という好調な滑り出しだったが、ストーリーが難解すぎると賛否両論を呼び、また「ネタバレ禁止」の空気が漂っていたせいか、いまいちいい口コミが広がらず。前作『風立ちぬ』(13年7月20日公開)が記録した最終興行収入120億2000万円には及ばなさそうだ。

 第3位は『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』(12月22日公開)で12億2400万円。原作は、スパイの“黄昏”ことロイド・フォージャー、殺し屋の“いばら姫”ことヨル・ブライア(ヨル・フォージャー)、超能力者の“被検体007”ことアーニャ(後にアーニャ・フォージャー)が赤の他人同士から「仮初の家族」を築き、トラブルに見舞われながらも「家族としての普通の日常」を送るために奮闘するという内容。劇場版では、フォージャー家が初の家族旅行へ行くことから物語が描かれた。

 第4位は『「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ』(2月3日公開)で11億5900万円。

同作は過去のテレビアニメ「竈門炭治郎 立志編」(TOKYO MXほか)や「無限列車編」(フジテレビ系、以下同)、それに「遊郭編」9話までのダイジェストと第10話・第11話(最終回)のブローアップしたものに加え、新作「刀鍛冶の里編」の第1話を劇場で上映するという作品だった。一般的な映画とは毛色が違うものの、さすがは、劇場版「無限列車編」(22年10月16日公開)が、国内の歴代映画興行収入ランキングで第1位(404億3000万円)に輝いた超ヒットコンテンツ『鬼滅の刃』。3日間で10億円以上という好成績を叩き出した。

 このようにトップ3はいずれもアニメ作品。続く5位は、山崎賢人主演の『キングダム 運命の炎』(10億5100万円)で、同作は実写作品ではトップの初動を記録したことになる。

生田斗真、中島健人、松村北斗の出演作が下位に沈む

 一方、初日3日間の興行収入が公表された範囲内の下位作品を見ていこう。

ワースト3となる32位は、生田斗真主演の『湯道』(2月24日公開)。 08年9月13日公開のヒット作『おくりびと』の脚本家で、放送作家の小山薫堂氏が、自身の提唱する「湯道(ゆどう)」をもとに、お風呂を通じて交差する人間模様を描いたオリジナル作品。上位にランクインする、漫画原作かつ壮大なスケール感の作品と比べると、どうしても地味な印象が拭えないだけに、「映画館ではなく、配信が始まったら家で見よう」という人も少なくなかったのかもしれない。

 ワースト2(33位)は、Sexy Zone・中島健人主演の『おまえの罪を自白しろ』(1億1900万円)。王道の王子様キャラの中島が、社会派サスペンスに挑んだ意欲作だったが、残念ながら低空スタートに。しかし、中島の演技に関してはネット上で称賛の声も多数寄せられている。

 ワースト1(34位)は、日本を代表する映画監督・岩井俊二氏と音楽プロデューサー・小林武史氏がタッグを組んだ音楽映画『キリエのうた』(1億1300万円)だった。主演は、今年6月に解散したBiSHの元メンバー・アイナ・ジ・エンドで、震災により家族を喪い、歌うことでしか声を発せなくなった路上ミュージシャン・キリエ役を演じ、彼女が制作した劇中歌も注目を浴びたが、興行成績の面では苦戦したようだ。

 なお、『キリエのうた』のメインキャストには、SixTONES・松村北斗も名を連ねていることを考えると、下位3作品はいずれも旧ジャニーズタレントの出演作となる。ファンにとってはショックかもしれないが、彼らの演技を評価する声は少なくないだけに、今後も映画界で重宝されるのは間違いないだろう。

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cyzowoman
サイゾーウーマン2023.10.28