焼肉きんぐ(写真:サイゾーウーマン)

 外食産業の勝ち組とされる焼肉業界。日経新聞によると、2022時点での市場規模が4520億円となっているが、そんな好調の焼肉業界の中で、特に人気を集めるのが食べ放題サービスを展開する「焼肉きんぐ」だ。

4月末、静岡県浜松市に全国321店舗目をオープンした。

 富士経済「外食産業マーケティング便覧2023」によれば、同チェーンの売り上げは770億円で焼肉チェーン店売上高シェアの1位を獲得している。そんな「焼肉きんぐ」に負けない味を誇り、今後“来る”であろう焼肉チェーン店について、グルメライター3人に聞いた。

※2024年4月28日公開の記事を再編集しています。

目次

「和食さと」焼肉食べ放題が素晴らしい
焼肉食べ放題「すたみな太郎」プロおすすめの肉は?
焼肉食べ放題「煉火亭」マジで○○がウマい!

座談会メンバー

・多部(仮名):東京都在住、50代男性
毒舌系グルメライター。実話誌などで取材許可なしの辛口すぎる飲食店レビュー記事を多く執筆する。逆に店の許可を取った取材では店を持ち上げまくる内容を書くことから、その二面性を仲間内でネタにされることも多々。

・平井(仮名):東京都在住、30代男性
主にチェーン店ランキング系のグルメ記事を執筆するライター。その仕事内容ゆえ、外食が多くなりがちだが、本人は愛妻家で、家族と一緒に食べる家庭料理が大好き。自分で料理をするときは、参考にしたレシピ通りに作るのを信条としている。

・児玉(仮名):埼玉県在住、40代男性
食べ物に関する記事をオールマイティにこなすも、ローカルチェーンや自販機グルメなどの変わり種を扱うことを好むグルメライター。趣味は投稿型レシピサイトで、味がまったく想像できない珍料理のレシピを見つけて再現すること。

▼前編はこちら
【焼肉きんぐ】を超える? 焼肉食べ放題「ワンカルビ」「熟成焼肉 いちばん」、プロが選ぶワケ コロナ禍の中で外食産業の“勝ち組”として人気を集め、現在も好調を続ける焼肉業界。

日経新聞によると、2022時点での市場規模が4520億円となっているが、そんな好調...
【焼肉食べ放題】3,839円、グルメライターが「かなり好き」「死ぬほど通った」知られざる注目チェーンとは?
【焼肉きんぐ】を超える? 焼肉食べ放題「ワンカルビ」「熟成焼肉 いちばん」、プロが選ぶワケ
【焼肉食べ放題】3,839円、グルメライターが「かなり好き」「死ぬほど通った」知られざる注目チェーンとは?
cyzowoman
サイゾーウーマン2024.04.28

※商品や価格は2024年4月28日時点の情報です。
※最新の情報は各公式サイト、SNSをご確認ください。

「和食さと」焼肉食べ放題は素晴らしい

――お三方それぞれの推し、どれも行ったことがなかったので、是非試してみたいと思います。ほかにも、注目しているチェーンなどはありますか?

平井 ちょっと変わり種なんですけど、「和食さと」の「さと式焼肉」(プレミアムコース3,839円)、かなり好きなんですよね。ムーガタっていうタイ料理を参考にした独特の鍋で、鍋の中心部で焼肉、端にあるだしが張られた部分でしゃぶしゃぶが楽しめるっていう独特のスタイルの焼肉なんです。

 焼肉としゃぶしゃぶをいっぺんにやれるのってちょっと背徳感があっていいなって。あと、うちは小学校低学年の子どもが2人いるんですけど、彼らも結構楽しんでくれるから、家族でよく行きますね。

多部 えー? まあ家族連れならアリだとは思うけどさ、ちょっと邪道な気がしちゃうよな。あとさ、あそこの肉ってかなーり甘くない? それこそ子どもとかは喜ぶんだろうけど、50過ぎたおっさんにあの味はちょっとくどい。やっぱり、あそこに行くと普通のしゃぶしゃぶ食べ放題を頼んじゃうな。

平井 あー、サービス開始当初はマジで甘すぎましたけど、近頃はちょっと抑えめになりましたよ。あと、サイドメニューが寿司から焼鳥、揚げ物まで豊富にそろっているのも、ファミリー層にはうれしいポイントだと思います。児玉さんの好きなソフトクリームも食べ放題ですしね。

大人は追加料金を払えば、「さとバル」(1,648円)っていうアルコールのセルフ式飲み放題もありますし。とにかく対応力があるのが素晴らしいと思います。

児玉 「さと式焼肉」は僕も好きですよ、残念ながら独り者だけど。

一同 (笑)。

児玉 僕は対応力というか、アレンジ力が高いのが好きな理由ですね。例えばサーモンの寿司を頼んだ後、ネタだけちょっとしゃぶしゃぶ部分のだしにくぐらせるとか、ちょっとだけ焼いてみるとか、焼鳥をさらに焼いてみるとかできますしね。

 あと、しゃぶしゃぶ用の肉を焼いたり、焼肉用の肉をしゃぶしゃぶで食べたりとか。以前「さと」が牛タン食べ放題のフェアを行っていた時があったんですが、その時は「さと式焼肉」限定で、「厚切り牛タン」が提供されてたんですよ。これをあえて、しゃぶしゃぶのだしでゆっくり加熱して食べるのが最高においしくて、あのフェア中は死ぬほど通っちゃいましたね。

多部 そういう食べ物で遊ぶみたいなやつ、児玉ちゃん本当に好きだよね。

児玉 遊んではいませんよ! ちゃんと食材にリスペクトを持ちつつ、いろいろ試してるだけなんで。

平井 ものは言いようですね(笑)。

「すたみな太郎」コスパ◎うまい肉は?

【焼肉食べ放題】3,839円、グルメライターが「かなり好き」「死ぬほど通った」知られざる注目チェーンとは?
すたみな太郎の高級ライン「すたみな太郎プレミアムビュッフェ」(写真:サイゾーウーマン)

多部 食べ物で遊ぶで思い出したけど、「すたみな太郎」とかって行く? 俺最近までランチでまあまあ通ってたんだけど。

平井 こっちもこっちで失礼な思い出し方してる(笑)。でも、あそここそファミリー層向けというか、ビュッフェ式でいろんなメニューがあって楽しいけど、どれもそこそこみたいな感じで、多部さんがあまり好きじゃなさそうな感じしちゃいますけどね。ソフトクリーム食べられるから、児玉さんは絶対好きだろうけど……(笑)。

多部 いや、それがさ、ちょっと前まで三大焼肉みたいな名前でさ、「TAROカルビ」、「TAROロース」「TAROハラミ」っていうのがあったのよ。これが存外ウマかった。特に「TAROカルビ」は、スジも容赦なくあるんだけど、脂のジューシーさもちゃんとあるっていうか。バーベキューする時とかに、「肉のハナマサ」とかで買ったでっかい肉焼いてさ、切り分けて食べるじゃん。ああいう感じの豪快な味がするのが気に入って、ランチによく通ってたわ。1,958円であれだけうまいならコスパいいなーって思ってたんだけど。

児玉 へえ、そんなのがあったんですね。僕も「すたみな太郎」はよく行くんですけど、肉は大体ホルモンしか食べないから知りませんでした。あ、ほかの総菜とかカレーとか、もちろんソフトクリームも食べますけど。

多部 ホルモンだけはさすがに尖ってるなあ。

児玉 これは僕の持論なんですけど、ホルモン、というかシマチョウって、お高い店でも食べ放題の店でもあんまり差を感じないんですよね。もちろん、通い始めた頃はいろいろ試してたんですけど、正直あんまりおいしくなかったから、それからは何も期待せずにまっずぐホルモンに向かってました。そんなメニューがあったなら試してみたかったな。

多部 でも最近、その三大焼肉ってのがなくなって、またペラい肉に戻っちゃったから、もう行かなくなっちゃったんだけどね。また復活して欲しいね。

焼肉食べ放題マイナーチェーン「煉火亭」マジで○○がウマい!

児玉 その時は僕もちゃんと試してみますね。「すたみな太郎」みたいな店でいうと、「けゐとく苑」って店知ってます?

平井 知らないですね。

多部 俺も知らないな。

児玉 東京の小平市と、埼玉の所沢市の2店舗だけあるマイナーチェーンなんですけど、ここが結構おいしいんですよね。僕が行っているのは所沢店なんですけど、ディナータイム(3,080円)限定の「厚切りかるび」とか、カルビの種類が充実してるし、18時と20時のタイムサービスでちょっと豪華なメニューが出てきたりして、ちょっと楽しいんですよ。小平店の方は何個かコースがある感じで、所沢とはちょっと違うみたいなんですけど。

平井 それってチェーンって言っていいのかな……。

多部 2店舗しかなくて、その両方のメニューが共通じゃないってなると、流石にチェーンって言ったらマズいんじゃないの?

児玉 じゃあ、あくまで僕のオススメの店ってことにしといてください(笑)。もう少し店舗数があるマイナーチェーンでいうと「煉火亭」ってところがありまして。こっちは「馬車道」とか「モダンパスタ」とか、埼玉を中心としてファミレス系を多く展開しているローカルチェーン・株式会社馬車道がやっている焼肉食べ放題チェーンなんですけど。

多部 やっぱり知らねえ!

平井 あ、「馬車道」は知ってますよ。なんか店員さんが大正時代みたいなモダン系和服みたいのを着てるチェーンだ。

児玉 そうそう。「煉火亭」のほかに、「黒塀家」「いきな黒塀」って屋号もあるんですが。

多部 その屋号ごとに違いはなんかあるの?

児玉 んー、メニューはほぼ共通だったと思いますね。確かドリンクバーがあったりなかったりとか、その程度の差だったと思います。あ、食べ放題だと屋号ごとにカルビの名前が違いますよ。「煉火亭」だと「煉火カルビ」、「黒塀家」だと「くろべいカルビ」、「いきな黒塀」は「いきなカルビ」って名前ですね。

平井 ……ちなみにそれらに違いはあるんですか?

児玉 僕にはよくわかりませんでした。

多部 なんで屋号分けてるの、それ(笑)。

児玉 それもちょっとわからなくて……。でもここは激推ししたいポイントがあるんですよ。ここの食べ放題は「スタンダードコース」(4,268円)と、牛タンとかも注文できる「プレミアムコース」(5,368円)と2つのコースがあるんですが、肉はちゃんと値段なりのおいしさはあるものの、飛びぬけてレベルが高いってことはないんです。

平井 それ、激推しポイントなんですか?

多部 何ならちょっとけなしてるよな。

児玉 ただ、テーブルに置かれてる「こってり濃口タレ」っていう付けダレがマジでウマい! すりおろし玉ねぎが入りまくってドロドロしているタイプのタレなんですけど、もう肉の質とかどうでもよくなるぐらいパンチが効いててウマいんですよ。そのままご飯にかけてもバクバク食べられるぐらいでして。このタレだけ単品販売してくれないかなっていつも思ってます。

多部 タレの味かあ。まあ大事だけどね。

平井 栃木県の「ステーキ宮」のタレといい、北関東民はタレへのこだわりが強いな(笑)。あれも確かにおいしいですけど。

児玉 正直、「宮」のタレに全然勝ってるって個人的には思ってます。

「熟成焼肉 いちばん」業態転換で人気が出る可能性も

――そういうローカルチェーンなども含めると、まだ見ぬネクスト「きんぐ」候補の焼肉食べ放題チェーンは数多くあるのかもしれませんね。

多部 焼肉からは外れるけど、今じゃ全国区になりつつあるファミレスチェーンの「ジョイフル」だって、大分発祥で、ちょっと前までは関東じゃ見かけなかったしな。そういうローカルチェーンしかり、平井ちゃんが紹介した「熟成焼肉 いちばん」とか、「焼肉の和民」みたいな業態転換で人気が出たり、何かしらのきっかけで人気が出るチェーンって結構あるからね。

平井 とはいえ、「いきなりステーキ」みたいに、はやったはいいけど持久力がなく、すぐに店舗数が減っちゃうみたいなこともありますけど。我々グルメライターとしては、ローカルや新興も含めて、常にアンテナを張って、これから“来る”チェーン店を探していたいものです。

児玉 本当にそう。ただね、やっぱり遠くに行くとなると取材費がどうしてもね……(苦笑)。

平井 近頃は少ないですもんね(笑)。

多部 そりゃ昔に比べるとね。まあできる限りってことでいいんじゃない?

児玉 いやー、できればいろいろなところを紹介したいですよ。というわけで、出版社やニュースサイトの皆さま、是非潤沢な取材費のある仕事を我々にください!

一同 (笑)。