韓国ハンファグループは、オーストラリアの防衛・造船大手オースタル(Austal)の株式19.9%を取得し、筆頭株主に浮上した。単なる資本参加を超え、韓国の防衛企業が米海軍の中核サプライチェーンおよび米英豪の安全保障枠組み「AUKUS」に参入する歴史的な転換点と位置づけられる。

現地時間12日、豪財務省の承認を受け、ハンファは従来の最大株主タタラン・ベンチャーズ(19.28%)を上回った。米海軍の小型水上艦・兵站支援艦で40~60%の市場シェアを持つオースタルを足がかりに、ハンファは米防衛市場への直接進出基盤を整えた。

米豪当局の承認が示す意味

今回の持ち株拡大が米国の対米外国投資委員会(CFIUS)と豪州の外国投資審査委員会(FIRB)の双方から承認を得た点は注目される。CFIUSは「未解決の国家安全保障上の懸念はない」と明記し、最大100%取得まで容認した。豪財務省も国防・内務・外務・国家安全機関の助言を踏まえ、19.9%上限や機微情報へのアクセス制限など条件付きで認可した。

一方、日本の三菱重工業は豪州の汎用フリゲート(GPF、約100億豪ドル)を受注し、オースタルのパース造船所で護衛艦「もがみ」型改良艦を建造する予定だ。日本側は技術流出への懸念を示したが、豪政府は韓国防衛産業の技術力と納期遵守能力を評価した。ハンファオーシャンの中大型鋼船技術と、オースタルのアルミ高速艇技術の融合により、双方の競争力拡大が見込まれる。

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