北朝鮮で6月は、「反米思想教育」の季節だ。25日(朝鮮戦争開戦日)から7月27日(休戦協定締結日)までの約1カ月間を「反米共同闘争月間」と定め、「戦争は米国の侵略で始まった」という虚偽宣伝を重ねている。
デイリーNKの咸鏡北道の消息筋は、「今年も中央から、毎週土曜日ごとに反帝階級意識を植え付ける内容の講演会を実施するよう指示が下された」とし、「これに伴い、先週から職場ごとに講演会が行われた」と伝えた。
しかし今や、当局が強弁する「米国による侵略」説を信じる人は少数派だという。海外から少しずつ流入した情報から史実を知った人々もいるが、それよりも決定的なきっかけを作ったのは金正恩総書記その人である。
北朝鮮で2024年2月に公開された映画「72時間」。朝鮮戦争の開戦からソウル解放に至る3日間を描いたものだが、これが朝鮮中央テレビで放映されところ、大きな動揺が起きたという。
テレビで映画を見た北朝鮮の視聴者の、こんな感想を米政府系のラジオ・フリー・アジアが伝えている。
「この映画は『1950年6月25日午前5時に、米帝の不意をついた侵略で朝鮮戦争が始まった』という、今までの国のプロパガンダの内容とは完全に異なる」(情報筋)
映画では、戦争が6月24日の夜に始まっており、米軍の奇襲で戦端が開かれたのではなかったことが詳細に描かれてしまっている。つまり、「国家的なウソを自ら暴露した形になる」というのが、情報筋の説明だ。
言うまでもなく、朝鮮戦争は北朝鮮による先制攻撃から始まったものだ。北朝鮮当局はその事実をひた隠しにし、海外情報に触れて真実を語ろうとする者がいれば、政治犯収容所に送るなど厳しく抑えつけてきた。
そんな実態について、薄々気づいていた人もかなりいたとのことだが、今まで教えられてきた「帝国主義勢力の侵略をはねのけ、国を守り抜いた」という国の根幹に関わる歴史が虚構だったと知った人びとは、怒りをあらわにしているとのことだ。
北朝鮮では故金日成主席や故金正日総書記の業績を「縮小」し、金正恩総書記の神格化を進めるプロジェクトが行われている。








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