北朝鮮当局が本格的な夏を迎え、主要観光地への旅行を積極的に奨励しているものの、住民の間では「まずは生活が先だ」と冷ややかな反応が広がっていることが分かった。 デイリーNKの咸鏡北道の消息筋によると、同道の朝鮮労働党委員会は17日、道内の主要機関・企業所の党委員会に対し、道内の観光地を積極的に利用するよう指示を下した。
これを受け、各機関・企業所の党委員会は傘下の職業総同盟(職盟)や社会主義愛国青年同盟(青年同盟)を通じて、七宝山、鏡城温泉、塩盆津(ヨムブンジン)など地元を代表する観光地への団体旅行を企画し、参加を積極的に呼びかけている。 消息筋によれば、こうした動きの背景には、国内観光を活性化させることで観光収入を取り込みたいという当局の狙いがあるという。 しかし、当の住民たちは観光を「別世界の話」と受け止めている。生活苦に直面する住民にとって、観光はぜいたく以外の何物でもないからだ。 住民が最も負担に感じているのは、やはり費用である。消息筋は「職場が費用を負担してくれるならともかく、自分で交通費に加え約1週間分の宿泊費と食費を払えば、最低でも30万北朝鮮ウォンは必要になる」としたうえで、「それほどの大金を払ってまで観光に行こうという人はほとんどいない」と語った。 さらに、「住民の間では『観光とは、まず口にごちそうが入ってこそ楽しめるものだ』『腹いっぱい食べられてこそ金剛山も美しく見える』という言葉が交わされている」とし、「毎日何とか生き延びるだけでもありがたい状況で、いったいどんな気持ちで観光に出かけられるのか、という反応が多い」と付け加えた。
編集部おすすめ