お腹回りが気になる経理部長、Wさん(49歳)にとって秋の健診時期は憂うつな季節。昨年も血糖値が引っかかり、ダイエットを厳命されたのだが ──。


 特定健診・特定保健指導、通称メタボ健診の義務化以来、中高年男性のあいだでもダイエットがブームだ。厚生労働省の統計では、40~60代の日本人男性の3人に1人がBMI(体格指数)25以上の肥満。うち半数が肥満を原因とする健康障害を伴う「肥満症」だ。

 日本人を含め、そもそもモンゴロイドは他人種より肥満に弱い。というのは、内臓脂肪をため込む「倹約遺伝子」を他人種より2~4倍、高頻度に持つからだ。内臓脂肪からは身体の代謝機能に影響するさまざまなホルモンが分泌されるため、糖尿病や動脈硬化の進行が加速する。

 たとえば、欧米人は肥満から糖尿病を発症するまで20~30年の猶予期間があるが、日本人はその半分の10~15年で糖尿病になってしまう。飢餓時代を生き延びた倹約遺伝子が飽食の現代では仇となるわけだ。病的な肥満は早めに解消しておくに限る。

 はたして自分はダイエットの必要があるのか? まずBMIを計算してみよう。計算式は体重(kg)÷{身長(m)の二乗}で、25以上なら肥満と判定される。これに肥満が原因の病気である糖尿病(予備軍を含む)、脂質異常症、肝機能障害などを示す検査値異常があるなら即、ダイエット開始。
特に肥満が原因の2型糖尿病は、発症早期の10~15%減量で完治する可能性が残されている。

 ダイエットの大原則は、食事から取る総カロリー量を総消費カロリー量以下にすること。1日70~80グラムのタンパク質を取ることの2点。今、ブームの糖質制限食も結果的に総摂取カロリー量を抑えている。要は「食べ過ぎ」を無理なく是正することが肝心なのだ。

 総消費カロリー量の内訳は、基礎代謝+生活活動(運動)代謝+食事誘発性体熱。全体の7割を占める基礎代謝は男性で1500キロカロリー前後だが、個々人の体格で大きく変化する。正確に知るには、呼気ガス分析による「基礎代謝測定検査」を受けてみよう。肥満症治療の必要ありと診断された場合は、 3割負担の数百円で受けられる。

 もう一つ、ダイエット成功の秘訣は「なぜ太り始めたか」を分析すること。過食の背後には日常的なストレスが隠れていることが多い。新規プロジェクトの責任者になったとたん、体重が増えたというのもよく聞く話だ。
ストレスを認識しポジティブ思考でいつも自分にいいように考える習慣を身につければ、ダイエットの成功率は格段に上がる。

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