4月から働き方改革関連法が施行され、時間外労働の上限規制が入ったことで、限られた時間の中で高い成果を求められる時代になりました。時間あたりの生産性を高めなければならない中で、現在、時間あたりの給料が最も高いのはどの会社なのでしょうか。

 就職・転職のためのジョブマーケット・プラットフォーム「OpenWork」を運営するオープンワーク株式会社は、「上場企業の時給ランキング2019」を発表。今回は対象企業を上場企業に絞り、上場企業の有価証券報告書と「OpenWork」に投稿された残業時間のデータから、企業による公開情報だけでは知ることが難しい、残業時間も含めた労働時間による「時給」を算出しています。

 つまり今回の調査での「時給」は、有価証券報告書に記載されている平均年収を、各社の標準労働時間および「OpenWork」に投稿されている平均残業時間(月間)から算出した年間勤務時間で割った金額です。計算式で表すと下記になります。

 時給=平均年収÷[(月間標準労働時間+月間平均残業時間)×12]

 それでは、今回の調査から明らかになった「上場企業の時給ランキング2019」を見ていきましょう。

※集計期間内(2016年1月~2019年5月)に「OpenWork」のレポート回答が5件以上ある上場企業2179社を対象とし、有価証券報告書に記載されている平均年収データ(2017年度)と、各社の月間標準労働時間(標準労働時間×20日として集計)および「OpenWork」に投稿されている「平均残業時間(月間)」から「時給」を算出。標準労働時間は各企業採用情報等を確認し、職種・勤務地により異なる場合は代表的な職種または本社の労働時間を採用。時給は小数点以下四捨五入、平均年収は万円単位で掲載。純粋持株会社はランキングから除いた。

上場企業の時給ランキング2019
1位は「時給8000円超」のキーエンス

「上場企業の時給ランキング2019」の1位となったのは、キーエンスで、時給は8037円でした。2位に1000円以上の差をつけた圧倒的1位です。

 2位は三菱商事(時給7035円、以下同)、3位三井物産(6634円)、4位伊藤忠商事(6478円)、大手総合商社が並ぶ結果になりました。

30代で年収2000万円超え!
キーエンス高収入の仕組みとは?

 1位になったキーエンスは、工場の自動化に必要な各種センサー、測定機器などの開発から製造、販売までを行う会社。昨年は2位になるなど、時給ランキングでも常にトップ10以内にランクインする「高時給企業」です。業績は7期連続で最高益となっており、それに比例するように平均年収も年々引き上がっています。

 今年のトップ30内で唯一、平均年収が2000万円超となり、決して平均残業時間は少なくありませんが(61.5時間)、今回初めて1位となりました。

 そんなキーエンスは、どんな給与体系になっているのでしょうか。社員たちのクチコミから探ってみましょう。

「現在の平均年収は2000万を超えている。2年目で1000万超え、30ちょいで2000万超え。この年収カーブで計算すると生涯賃金は8億~9億円になる。これは総合商社の約2倍に相当する」(開発、男性、キーエンス、年収2300万円)

「ランク制。給料の半分以上が賞与である。そのため、会社の景気の良さが給料に大きく影響する。

4半期に1回、仕事の頑張りが評価される会があり、その評価は賞与に反映される。客観的に自分を評価する機会にもなるので、評価も納得感がある。世間でいわれてる通りの高収入を得ることはできる」(開発、男性、キーエンス、年収1100万円)

「基本給はそこまで高くなく、年収の約半分は年4回のボーナスによって大きく変わる。ボーナスの額は個人の営業成績によっても左右されるが、そこまで変化はなく、全社の業績によって左右されるところが大きい。そのため、個人でいくら頑張っても、不況により全社の業績が悪ければボーナスは下がり、逆に個人成績が悪くても、好況により全社の業績が良くなればボーナスは上がる。また、公平性の観点から福利厚生はほぼない」(営業、男性、キーエンス、年収1000万円)

 今回は、「上場企業の時給ランキング2019」の上位5位を紹介しました。ついに1位のキーエンスでは時給が8000円を突破しましたが、働き方改革の流れで時間あたりの生産性を高めなければならない中、多くの企業でも今後、時給が上がっていくことになるのか。その行方にも注目したいところです。

(本記事はOpenWork[オープンワーク]からの提供データを基に制作しています)

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