これまで日本では、世界的にも有給休暇の取得率が低いことが大きく問題視されてきた。
企業規模別に見ると、「1000人以上」が年間11.2日に対し、「30~99人」が7.7日と小規模になるほど取得率は低下。また産業別で見ると、宿泊業・飲食サービス業では取得率が5.2日と著しく低くなっている。
こうしたなかで始まった有給休暇取得の義務化だが、現在、各都道府県において有給休暇の取得状況はどうなっているのか。
一般社団法人ストレスオフ・アライアンスは、全国の男女14万人(男女各7万人、20~69歳)を対象に、大規模インターネット調査『ココロの体力測定2019』を実施。その中で、有給休暇に関する詳細な調査を行っている。
そこで今回は「年間10日以上の有給休暇取得率が高い都道府県ランキング」を見ていこう。
※集計期間は2019年3月6日~18日。調査機関は株式会社メディプラス研究所。
「有給休暇の取得率が高い都道府県」ランキング1位は男性が神奈川県、女性は東京都
「年間10日以上の有給休暇取得率が高い都道府県ランキング【男性版】」1位は神奈川県で、年間10日以上の有給休暇取得率は37.2%だった。2位は滋賀県(37.1%)、3位には三重県(36.2%)が続いている。
取得率が最も低かったのは徳島県(22.6%)で、1位の神奈川県とは14.6ポイントも差があった。
「年間10日以上の有給休暇取得率が高い都道府県ランキング【女性版】」1位は、東京都となった。年間10日以上の有給休暇取得率は39.4%と約4割に上った。また、2位には群馬県(38.0%)、3位は千葉県(36.1%)がランクインした。
対して取得率が最も低かったのは鹿児島県(20.8%)で、トップの東京都とは18.6ポイントもの違いがあった。
有給取得率が高い都道府県は「休まないこと」を美徳としない傾向
今回、上位に入った都道府県には、どのような特徴があるのだろうか。
男性では、神奈川県、滋賀県、三重県がトップ3に選ばれたが、これらの県に共通するのは「休まないこと」を美徳とする意識が低いことだ。風邪をひいてつらくても会社に行くなど、無理をしてでも会社に行く人を褒めたたえるような空気感はかつての日本企業に多くあったかもしれないが、これらの県の男性たちはそんなことにこだわらない。
温泉や自然に囲まれる遊びや、ウインドウショッピングやスポーツ観戦など、家族と癒やしの時間を過ごしたり、お金を使ったりすることが大好きな傾向があり、有給休暇を取得することで、これらを楽しんでいるのではないだろうか。
一方の女性では、東京都、群馬県、千葉県の3都県がトップ3にランクイン。共通するのは、ヨガやジムに通うなどのスポーツをする習慣が多いこと。またアウトドアや動物と過ごす、映画・観劇、読書など、自然と戯れたり、文化的な趣味を楽しむ傾向があることがわかった。
職場の満足度が高まる傾向に
本調査では、有給休暇と職場満足度の関係についても調査。男性は年間10~19日程度の有給休暇を取得している層で、最も職場の満足度が高いことがわかった。この層はリラックス行動の実施率が全体的に高く、特にレジャーや家族との行動が多くなる傾向にあった。
また、女性は年間5日以上の有給休暇を取得している層から職場満足度が高くなり、最も高いのが年間10~19日となった。年間5日以上からリラックス行動を実施する人が多い一方で、年10日以上の有給休暇が取得できない状況でも、その時々に合わせてストレスを低減させるような行動ができている。男性よりも女性の方が、休みを有効に活用できる傾向にあるようだ。
(本記事は一般社団法人ストレスオフ・アライアンスからの提供データを基に制作しています)