筆者は、吉本でお笑いコンビ「オオカミ少年」で活動する傍ら、探偵事務所の代表を務めています。今回お届けするのは現役探偵ならではの実体験話です。

ホラーとは一味違う怖い話を紹介します。(探偵芸人 オオカミ少年・片岡正徳)

事件ファイル(1)
紳士服量販店から
大量のスーツ盗難の理由

 10年前、私が探偵の見習いの頃、紳士服量販店のスーツが何千着も盗まれたという事件が相次ぎ、犯人を調べてほしいという依頼がありました。

 アメリカの探偵はペーパーテストと面談があって、ライセンスを取得しています。また誰でも拳銃を持てる国なので、私立探偵というよりも私立刑事ですね。

 アメリカの探偵は、日本の探偵と違い、刑事事件も扱います。証拠を集め、裁判などで証言することもあり、警察のような逮捕権も持っています。もちろん日本の探偵はそんな権限を持っていません。

 そのため、当時「犯人グループを調べてほしい」と言われても…と思いながら調査しましたが、何の解決もできなかった苦い思い出があります。

 こういう案件の場合は、警察が動くまでに時間がかかるので、被害が拡大する前に解決したいときなどに頼まれます。

 ところで、最近、私のYouTubeチャンネル「オオカミ少年カタオカ」の企画で、雑誌『ラジオライフ』の9代目編集長・関口岳彦さんにいろいろとお話を聞かせてもらいました。『ラジオライフ』は「詐欺の手口」を紹介したりするコンプライアンス雑誌です。

 20年ぐらい前の中国がまだ貧しかった時代、難民が出稼ぎのためにボートで日本に不法に入国する事件が多かったそうです。

「なぜか時を同じくして紳士服量販店のスーツが何千着と盗まれていたんです」との話を聞いた時に、10年前のスーツが何千着も盗まれたあの事件と同じだと気付きました。

 おそらくその事件が始まったのが20年前で、私が調査した10年前は、事件の終息間際だったのかもしれません。

『ラジオライフ』に
武勇伝を語りにくる詐欺師たち

 関口さんによると、詐欺師が定期的に『ラジオライフ』編集部に来て、武勇伝のように詐欺体験談を語るようです。

 そんな“情報源”の一人、店舗の鍵なら何でも開けられる鍵開けのプロ=「裏カギ師」がスーツの盗難事件に関わっていたようです。

 近年の犯罪は完全に縦割り分業で、特殊能力があると闇の犯罪組織のボスからオファーを受けます。

 役割が細かく分けられていて、横のつながりは全くありません。たとえ捕まっても、他のメンバーのことは全く分からないので、情報が漏れることもありません。

 裏カギ師は、「何月何日○○時に××に来い」と言われ、店舗の鍵を開けると、次は盗みのプロが何千着ものスーツを根こそぎ店から持ち出してトラックに詰め込み、逃走のプロのトラック運転手が運ぶ。仕事が終わったらそれぞれが別々に帰ります。

 量販店のスーツは高く売れないのに、なぜ盗むのか!? 分かりますよね。難民に着させるためです。アジア系の人にスーツを着せたら、どこの国の人か分からない。

そして、電車に乗せて全国に逃がせば全く分からなくなる! ボロボロの服ならすぐバレますが、スーツを着て身なりがしっかりしていれば難民だとはバレません。

「難民が日本に不法侵入」「紳士服が大量に盗まれる事件」。この2つの犯罪は点と点が線になり結びついています。

 犯人たちは互いに名前ではなく、コードネームで呼び合っており、例えば、情報屋は携帯がつながらないと足を洗ったか、捕まったか、殺されたのか?と思うみたいです。また、「依頼を受けないなら出ていけ」というスタイルなのだそうです。

事件ファイル(2)
ハイエース盗難は古い?
今は高級車が狙われている

 この話も関口さんからお聞きしたのですが、一時期、大量のハイエースの盗難がニュースになっていましたが、最近では、レクサスを中心に高級車が盗まれているみたいです。私は驚きました。

「レクサスなんてトヨタの高級車でセキュリティーはすごいんじゃないですか!?」

 ハイエースの盗難が多かったのは、商用車として需要があり、セキュリティーが弱かったからです。当時は「ハイエースを盗まれないためにはハイエースに乗らない」と言われたほどです。

 車の被害もさることながら、一番きついのは職人さんたちの乗っているハイエースから、商売道具が全て盗まれてしまうことでした。

>>(下)に続く

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