「あつ森」で社会的ブーム
今回は、上場企業の有価証券報告書に記載された平均年収のデータを使って、「大阪府を除く近畿地方で年収が高い会社ランキング」を作成した。対象は大阪府を除く近畿地方(京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀の1府4県)に本社を置く上場企業で、単体の従業員数が20人未満の企業は除外している。
早速、ランキングを確認していこう。
1位となったのは京都府に本社を置く任天堂で、平均年収は971.0万円だった。2位との差額が105.2万円で、圧倒的に高い年収だ。また、前期は935.1万円だったが、今期は35.9万円もアップしている。
同社の売り上げの多くを占めるのが、ゲーム専用機のソフトウエアだ。コロナ禍で「おうち時間」が増えたことにより、Nintendo Switchのソフトの販売が好調で、特に『あつまれ どうぶつの森』は累計販売本数が3263万本を超え、社会的ブームとなった。
また、今年3月にはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)内に新エリア「スーパー・ニンテンドー・ワールド」がオープンして話題になったが、米国にある「ユニバーサル・スタジオ・ハリウッド」でも建設中で、同社の商品・ブランドと消費者の接点を着実に増やしている。
2位はコロナワクチン製造を受託した企業2位はバイオ医薬品の開発を行っている医薬品メーカーのJCRファーマで、865.8万円。前期よりも35.5万円アップした。同社は20年12月に、新型コロナウイルスワクチン原液の国内製造について、英製薬大手のアストラゼネカと業務請負契約を締結し、国内における原液の受託製造を続けている。
また、主力製品であるヒト成長ホルモン製剤「グロウジェクト」の売り上げなども好調で、21年3月期の通期決算では売上高300億8500万円、当期純利益68億9200万円と、いずれも過去最高を記録している。
3位はタクマで858.5万円。同社は、兵庫県でゴミや水処理、産業廃棄物処理プラント事業を展開する企業だ。同社の主要事業領域においては堅調な需要が常にあり、昨年のこのランキングでも2位にランクインしていた。
4位は京都府で半導体製造装置を手掛けるSCREENホールディングスで824.3万円。5G(第5世代移動通信システム)の拡大で対応する通信環境・デバイスのニーズが高まっている上、リモートワークの急増に伴って半導体の需要も増えている。同社は、この流れはコロナ収束後も続くと見込んでいて、研究開発にも積極的に投資している。
5位は大手電気機器メーカーのオムロンで、803.6万円だった。
同社は11年度からの10カ年計画で20年度(21年3月期)までに売上高1兆円という長期目標を立てていたが、コロナ禍などの影響を受け、前期の売上高は6555億円と未達に終わった。車載事業の売却やバックライト事業の収束が大きく響いた。ただ、その10年間で売上総利益率(粗利率)は36.8%から45.5%と大幅に改善。収益性は大きく向上した。
ランキングの完全版では、6位以下の全100社を掲載している。
(ダイヤモンド編集部 宝金奏恵)