『週刊ダイヤモンド』11月4日号の第1特集は「新NISA徹底活用」です。老後のお金の不安は簡単には拭えません。
老後のお金の不安を解消!
老後不安は簡単には拭えない。お金の不安はまとわりついて消えない。
私たちは長寿社会を築いた。日本の平均寿命は世界一の水準を誇り、これまでにない速さで超高齢社会に入りつつある。今65歳の日本の男性の3割弱、女性の5割が90歳の卒寿を迎える。
いつまでも元気で、健やかに老後を過ごせればいい。だが、必要なのは生活費だけではない。医療費、介護費もかかってくる。
では、どうすればいいか。老後のお金の屋台骨となる「公的年金」、それまでに蓄えてきた「資産の運用」──。その老後のお金の2本の柱を、賢くしたたかに増やすのである。
まずは、生涯にわたって老後の生活資金を支える“終身”の公的年金は、定年後も働き、厚生年金に加入して増やす。
例えば、月給20万円で厚生年金に1年加入すると、厚生年金額は年1万3000円強増える。
方法は他にもある。年金の繰り下げ受給で増やすのである。
65歳の受給開始時期を66~75歳に遅らせることによって、年金は1カ月当たり0.7%増額、1年につき8.4%増となる。
70歳になってから65歳受給開始時の年金額を5年分まとめて受け取ることも可能だ。65歳時に年額200万円の人は、一括で1000万円を請求できる。
続いて資産の運用だ。
仮に年利5%で運用できたとすると、現在の100万円は10年後には163万円、20年後には265万円、30年後には432万円となる。複利の力だ。
大事なことはまだある。
ファンドの運用コストに目を光らせ新NISAをフルに活用するべし
あくまで損をしても生活にダメージを負わない範囲で投資し、そして運用コストに目を光らせることも欠かせない。100万円を利回り5%で運用でき、そのファンドの信託報酬が1%であれば20年間の累積保有コストは34万7000円になる。それがeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)などのように0.05775%であれば2万円で済む。
そして、新NISA(少額投資非課税制度)の出番だ。2024年からは非課税の投資枠が大きく増え、恒久化する。使い勝手も格段に良くなる。
運用益に対して20.315%かかる税金が非課税になることで、「投資の期待リターンを年率5%とすると、ざっくり年率1%ほど通常の課税口座よりも有利になる」(経済評論家の山崎元氏)のだ。