『週刊ダイヤモンド』3月29日号の第1特集は「階級社会の不幸」です。日本の格差問題が岐路に立っています。

不十分な賃上げと、非正規雇用の固定が、日本を衰退の道へ導こうとしています。元凶はもうかってもため込み、賃上げも人的投資も国内投資も怠った大企業にあります。中でも割を食ったのが就職氷河期世代です。特集では「貧しい国家」に成り下がりつつある日本の実態に迫ります。

「退職金増税」は氷河期世代から!?
上の世代の“逃げ切り”に猛反発

「また就職氷河期世代いじめだ」。3月上旬、インターネット上ではこんな怨嗟の声が飛び交った。

 一時は80%を超えていた大卒の就職率は93年から急低下し、最悪期には55%まで落ち込んだ。給料が高い大企業は狭き門。4割以上の学生が就職できず、非正規雇用の道を選ばざるを得ない人も続出した。年功序列の賃金制度が今なお残る日本で、社会人生活の始まりのつまずきは尾を引く。

 働き盛りの40代前半で、民間企業に勤める男性の平均年収を世代別に見ていくと、上の世代では超えていた600万円の水準から氷河期世代は大きく割り込んでいる。一時はピーク時と比べて84万円減と、給与2カ月分に近い大差がつけられた。

 さらに、身を粉にして働き収入が増えたとしても、つらい世代間格差が待ち構える。同じ額面年収であっても、税金や社会保険料の負担増で、上の世代と比べて自由に使える「手取り」が減ったのだ。

 例えば額面年収1000万円で、妻と15歳以下の子ども2人を扶養する45歳の会社員の手取りを試算すると、95年は799万円だった。ところが25年の手取りは723万円で、76万円も少ない。

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