今回はそんな時に役立つ、同業他社の中から有望銘柄を探し出すネット証券の6つの情報ツールを紹介しよう。
なお、今回ご紹介するツールは、すべて該当する証券会社に口座を開設していれば無料で利用できる。
<ワザ1> 売上高が近い似たもの銘柄まずは簡単な方法から。SBI証券では銘柄情報欄(ログイン後)ですでに同業他社銘柄が表示されている。「株価」の画面を見ると、同業種の銘柄が掲載されており、さらに、売上げが近い銘柄は★印がついている。【図1】はNTTドコモ(9437)を検索した画面だ。
<ワザ2> 400種のオリジナル業種で絞り込み同業他社と言っても東証33業種で比較する場合、銘柄数が多すぎるかもしれない。松井証券やマネックス証券で利用できる「チャートフォリオ」は、400以上の「オリジナル業種」に分類されている。
たとえば、携帯電話キャリア銘柄だけを探したい場合、情報・通信業だと約340銘柄ある。一方、「オリジナル業種」の「電話・通信」なら6銘柄に絞り込まれている。各銘柄のチャートが一覧表示されており、値動きが比較可能だ【図2】。
<ワザ3> 値動きが似たペア・トレード銘柄「値動きが似ている銘柄」は、SMBC日興証券で毎週掲載されている「クオンツ:ペア・トレード・モニター」というレポートを見るとわかる。
「ペア・トレード」とは、似た値動きをする同業種の2銘柄で、株価が離れた時に高い銘柄を信用取引で空売りし、低い銘柄を買うといったトレード手法だ。その後、両者の株価が再び近づいた時に決済を行うことで、上昇時でも下落時でも利益をあげるのが狙いだ。
たとえば、上記レポートに掲載されたペア・トレード銘柄は、ソニー(6758)とパナソニック(6752)、新日鐵住金(5401)とJFE(5411)【図3】など、16ペアの銘柄が毎週チェックされている。
このレポートで重要なのが、相対株価の乖離度を示す「zスコア」だ。普段は似た値動きをしてる銘柄でも、たまに値動きの比率が開く場合があり、「zスコア」の値が大きくなる。そんな時がペア・トレードのチャンスだ。上記のペアは、10月25日版のレポートで「zスコア」が大きかった銘柄だ。
<ワザ4> 企業の財務や業績で比較する企業の財務状況や業績など総合的に企業比較ができるツールがある。岡三オンライン証券が提供する「岡三ネットトレーダーWEB」の企業分析機能だ。このツールはトレードツールだが、インストール不要、利用料無料、ウェブブラウザで見られる(有料版「岡三ネットトレーダープレミアム」にも搭載されている)。
「企業分析」の「企業スコア」と呼ばれるページで、同業他社をレーダーチャートやランキング、マップ表示で多角的に比較できる【図4】。また、売上高予想や利益予想はもちろん、PERやROEといった指標でも比較が可能だ。
利益の伸びが将来にわたって継続しそうな銘柄、今期は伸びるが、やがて鈍化しそうな銘柄などがひと目でわかるツールがある。
「QUICKリサーチネット」は、多くのネット証券では有料版として利用できるが、松井証券ならば無料だ。QBR(QUICK企業研究所)予想、会社予想、QUICKコンセンサス予想で比較ができる。QUICKコンセンサスは、企業アナリストの業績予想の平均値だ。
QBRやQUICKコンセンサスでは、今期だけでなく、来期、銘柄によっては3期分の予想まで表示される。将来の業績の伸びが棒グラフで表示されて見やすい【図5】。
<ワザ6> アナリストの評価が高い銘柄マネックス証券で利用できる「決算&業績予想IFIS」で銘柄を検索すると、「同業他社の状況」として、簡易的に各社のレーティングなどが見られる。さらに同業他社の一覧表を表示し、データ(CSV形式)としてダウンロードできる。
このデータには、経常利益とその増益率について会社予想、コンセンサス予想(アナリスト予想の平均)、レーティングなどがつまっている。表計算ソフトで操作できるため、データを並び替えて、有望な銘柄が見つけ出そう。
【図6】では情報・通信業の中で、「経常利益かい離率」が大きい銘柄順に並べ替えてみた。こうすると「会社予想が過小評価だ」とアナリストたちが見ている銘柄が浮き彫りになるのだ。