フロイトやユングと並ぶ心理学の巨人・アドラーは、現代を生きる私たちに人生観が変わるほどの気づきを与えてくれます。その教えをわかりやすく説いた『嫌われる勇気』は今や35万部のベストセラー。

本連載では『嫌われる勇気』の著者・岸見一郎氏が、職場や日常生活で起こりうる皆さんのお悩みを「アドラー流」に解決いたします。
今回のお悩みは、20代女性によるもの。アドラー流の解決策はどのようなものでしょうか?

【今回のお悩み】
「TwitterやFacebookで私にだけ返信が遅く淡泊な友人。
 寂しいけど仕方ない……と頭では理解しているのですが、
 感情が追いつきません。」20代女性(パート・アルバイト)

 友達がたくさんいる人気者の友人Aさん。そんなAさんに、私がTwitterやFacebookでメッセージを送っても、返信は遅く内容もとても淡泊です。しかし、その他の友達とは頻繁にメッセージを交わして盛りあがっているようなんです。
 岸見先生の『嫌われる勇気』を読んで、その人と話したい、仲良くなりたいと思うのはあくまでも「私の課題」だと学びました。そして、その友人Aさんが私と仲良く話すかどうか、というのは「Aさんの課題」であり、私がどうにかできるものではない、ということも学びました。
 しかしそう理解してはいても、どうしても感情が追い付きません。寂しいな、もっと話してほしいなと、Aさんの友人たちがうらやましく嫉妬を覚えてしまいます。
 感情を割り切るには、どうしたら良いでしょうか?

【「アドラー流」回答】
残念ながら、他者は「あなたの期待」を満たすために生きているのではありません。

 あなたは、アドラーの考え方は頭では理解できるが、感情面では追いつかない部分があるとおっしゃる。

 でもそれは、「追いつかない」のではなく、「追いつかせてはいけない」と思っているのではありませんか?

 なぜなら、もし感情が追いついてしまったら、頭で理解していることをすべて認めないといけなくなるからです。

 アドラーの考え方は非常に厳しい一面を持っているので、受け入れないほうが楽な場合があるのも事実です。受け入れたくない気持ち、よくわかります。

 でも、本当にそれでいいのでしょうか。

 あなたは寂しいという感情に苦しんで、「変わりたい」と願っている。だとしたら「このままのわたし」でいいわけがない。前に進んでいかなければならない。

 でも、やはり変われずにいて、アドラーの考え方を「受け入れたくない」と思ってしまうのは、寂しいというマイナスの感情に自分なりに折り合いを付けて生きていく“勇気”が足りていないからです。

 厳しいことを言いますが、あなたは決して世界の中心にいるわけではありません。

 他者は「あなたのため」に生きているわけではない。だから、Aさんがあなたに構ってくれないというようなことは、ある意味あたりまえなのです。それを受け入れるしかありません。



 よく覚えておいてください。

 あなたは他者の期待を満たすために生きているのではないし、同時に他者も、あなたの期待を満たすために生きているのではないのです。

 一気にアドラーの考え方を受け入れるのは無理でも、まずは「この事実」を理解するとことから始めてはいかがでしょうか。

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