![アフリカ人による稀有な近代国家、ボツワナはどのように生まれたのか? [橘玲の世界投資見聞録]](http://imgc.eximg.jp/i=https%253A%252F%252Fs.eximg.jp%252Fexnews%252Ffeed%252FDiamond%252FDiamond_72341_1.jpg,zoom=600,quality=70,type=jpg)
ジンバブエでヴィクトリアの滝を見たあと、旅行者の多くは車でボツワナのチョベ国立公園を訪れる。ジンバブエのヴィクトリアフォールズ町からは(出入国が混まなければ)1時間ほどの距離で、日帰りのツアーもたくさん出ている。国境越えの道路の周囲は低木の森林地帯になっていて、突然、キリンが現われてびっくりしたりする。
チョベ国立公園はアフリカ象の生息地として有名で、乾季の終わり(8~9月)には象をはじめとする草食動物たちがチョベ川の水場に集まってくる。それを狙うライオンやチーターなどの肉食獣も多く、ドライブサファリには最高だ。私が訪れたのは雨季の12月でアフリカ象の大群を見ることはできなかったが、豹を除くビッグファイブ(ライオン、ゾウ、サイ、バッファロー)とはすべて遭遇した。
だが、この国に興味を持ったのは野生動物がたくさんいるからではない。ボツワナは、アフリカでもっとも成功した国なのだ。
アフリカ人が近代的な国家を作ることは不可能なのか?一般の日本人がボツワナの名前を聞いたのは、2002年に日本国債の格付が引き下げられ、「アフリカの国より下になった」と騒がれたときだろう。これに対して当時の平沼赳夫経済産業相は、「日本(の国債格付け)はボツワナより下だという。ボツワナの人口の半分はエイズ。そういった国よりも国債のランクが下というのは非常に意図的だと感じる」と発言した。その後、エイズ患者とボツワナに対する差別だと批判されてあわてて陳謝・撤回したが、日本人(とりわけ“保守”を名乗る政治家)がアフリカに対してどのようなステレオタイプのイメージを持っているかがよく表われている。