人生に影響を与えたテレビ番組を軸に、出演作品の話題からその人のパーソナルな部分にも迫るインタビュー連載「PERSON~人生を変えたテレビ番組」。今回は、現在放送中のプラチナイト木曜ドラマ『約束 ~16年目の真実~』(読売テレビ・日本テレビ系、毎週木曜23:59~)で主演を務める中村アンさんが登場します。


中村さんが本格的に女優デビューを果たしたのは、2015年『5→9~私に恋したお坊さん~』その後も『SUITS』『グランメゾン東京』『DCU~手錠を持ったダイバー~』など話題作に出演。2018年には『ラブリラン』でドラマ初主演を務めました。

その『ラブリラン』と同じ枠に、主演として6年ぶりに帰って来た中村さん。今回の『約束 ~16年目の真実~』は、かつて起きた連続殺人事件により全てを奪われた主人公・桐生葵(中村)が、刑事となって故郷に戻るところから始まる予測不能×完全オリジナルの心理サスペンスです。葵とバディを組むことになる香坂慧役に横山裕さん(SUPER EIGHT)、他にも物語のカギを握る人物たちのキャストとして細田善彦さん、佐津川愛美さん、森永悠希さん、織田梨沙さん、岡部たかしさん、杉本哲太さんらが名を連ねています。

このたび、中村さんにインタビューを実施。
物語や本作でドラマ初共演となる横山さんの印象、さらに「芝居の楽しさを教えてくれた」という過去の出演作についても聞きました。

バディ役・横山裕はストイック

――本作のオファーが来た際の率直な感想を聞かせてください。

“完全オリジナルサスペンス”ということで、どんなお話になるのかがまず気になりました。企画内容を聞いて「楽しそう!」と思ったのと、私自身こういった作品に出演するのは初めてなので、是非やってみたいと思いましたね。

――脚本を読んでどのような印象を持ちましたか?

とても面白いと思いました。それと同時に、この面白さを表現するための演技が重要になってくると感じました。


――演じる桐生葵について抱いた印象も聞かせてください。自身と似ている部分はありますか?

葵は、16年前の連続殺人事件のショックで“事件直前の一部の記憶”を失っています。その失った記憶や、16年前の事件の真相を追うために刑事になったのですが、私自身も結構知りたがりなんですよね。色々な事に「なんで? なんで?」と思うタイプなので、そこは似ているかもしれません。

――役作りで意識したことは?

服装も真っ黒なスーツで、髪型もあまり華美ではなく、女性を感じさせないようにしています。あとは動作の速度や目線などを意識しました。


――今まさに鋭意撮影中とのこと。現場はどのような雰囲気?

みんなのことをバチバチに疑っている役柄ではあるのですが、撮影現場はすごく和やかです。本当に楽しくやらせてもらっています。

――特に大変だった撮影シーンなどはありますか?

全部大変なのですが、この大変な撮影を楽しめる共演者・スタッフと一緒なので、本当に素敵な現場に恵まれたなと思っています。桐生葵という役をいただけたことを誇らしく思いますね。

――バディ役となる横山裕さんとはドラマ初共演。
共演してみていかがですか?

これまでテレビなどで拝見していて、とてもナチュラルでユニークな方だというイメージを持っていました。しかし、今回共演してみて思ったのは、とても真面目に芝居に向き合っているということ。しっかり台本を読み込んで、考えながら演じていらっしゃる。朝にジムやサウナに行って体を整えてから現場に来ていると言っていて、とてもストイックな方だという印象を持ちました。

――ストーリー上では疑い・疑われ……という関係性ですが、バディ役ということで、お芝居で「頼れる」と思った部分はありますか?

横山さんは「俺に頼ってくれ!」というタイプではなく、とても謙虚な方。その“圧”がないところが逆に頼れる部分だと思っていて、私の気持ちを察しながら演技してくれる感じがとても心強いです。


――逆に、中村さんの方が主演だからこそ「頼ってくれ!」と思っていたり?

「頼ってくれ!」とは思っていませんね(笑)。他の現場とはまた違うプレッシャーを感じてはいます。

演技の楽しさを知るきっかけになった作品とは?

――6年前に主演を務めた作品も、今回と同じ読売テレビ制作でした。その頃を思い出すことはありますか?

そうですね。思い返してみると、当時の私にしかできない表現があったなと思います。そして今は、あの頃よりももっと芝居の楽しさを知ったからこその演技ができるし、その姿を制作陣の皆さんに見せなければと思っています。


――その芝居の楽しさを知るきっかけとなった作品とは?

映画『名も無き世界のエンドロール』です。あの作品で感情を爆発させる演技を経験し、「なんて楽しいんだ!」と思いました。その後、ドラマ『グランメゾン東京』にも参加させて頂き、ものすごく豪華な共演者の方々の演技を間近で見たこともあって、自分の演技に対する姿勢を見直す良い機会をいただけました。

――出演作以外に、中村さんに何か影響を与えたテレビ番組はありますか?

ドラマ『やまとなでしこ』です。大人になったら私も神野桜子さんのような女性になりたいと思っていました。あまりにも好きすぎてDVDボックスを持っていたのですが、『営業部長 吉良奈津子』で松嶋菜々子さんと共演した際、サインしていただきました(笑)。

――では、今見ているオススメの番組はありますか?

バラエティやお笑い番組をよく見ていますね。東京03さんや中川家さんが特に好きで……。

スタッフ:あれ、我が家は?

あ、我が家さんも見ます(笑)。でも木崎拓斗役・坪倉由幸さんは近年、俳優業でお見かけすることが多いですよね。

――(笑)。中村さんが俳優として活動をする上で大事にしている言葉・信念があったら教えてください。

「経験は財産」ということです。俳優というお仕事は、経験したことのない感情を想像で表現しなければなりません。なので、ネガティブなこともお芝居のヒントになるように、色々な経験・感情を見過ごさないように、悪いことも力に変えたいと思っています。

――最後に、今後の見どころや注目すべき部分を教えてください。

実は、私たちも真犯人を知らされていないんです。ですが、やはり各話にヒントが散りばめられているようで、TVerでは見逃し配信が行われているので、是非繰り返しドラマを見直して、ヒントを見落とさないようにしてほしいですね。

取材・文:米田果織
撮影:フジタヒデ