先日、トヨタ自動車とクルマのサブスクリプションサービスで知られるKINTOの連名で届いた案内には「人に寄り添って進化するクルマへの挑戦」に関する説明会のお知らせと記されていました。出席者はKINTOの小寺信也社長と、トヨタでレクサスインターナショナル、GRカンパニーのプレジデントなどを務める執行役員の佐藤恒治氏。
KINTOが新たに取り扱いを始めたのはGRヤリス“モリゾウセレクション”。人に寄り添った進化”をうたうだけに、車両のアップデートそしてパーソナライズをその特徴としています。
【画像】見た目もちょっと違うGRヤリス“モリゾウセレクション”
まずアップデートとは、文字どおりクルマが進化するということ。しかもクルマの基本と言うべき“走る、曲がる、止まる”をソフトウェアファーストの開発によって進化させていくと言います。
まさにモリゾウさん…要するに豊田章男社長がGRヤリスで出場しているスーパー耐久のようなレースでは、毎戦直面する問題を手当し、解決し、次の進化に繋げるということを現場の力を結集してアジャイルに行っています。一方、市販車の進化は通常、登場数年後のマイナーチェンジのタイミングまで待たなければならず、リアルタイム性には乏しい。このクルマは、そこに風穴を開けることが期待されているのです。
基本はソフトウェアのアップデートで、内容は未決定ながらパワーステアリングの設定変更、エンジンのドライバビリティ向上や出力アップ、フルタイム4WDシステムの制御の刷新など、まさに走りの性能に直結する要素が検討されているそうです。また、可能性としてはハードの更新もあるかもしれないと言います。空力パーツの装着などは、可能性が高そうですよね。
GRヤリス“モリゾウセレクション”のユーザーは来週以降、年1回もしくはそれ以上のペースで、アップデートを受けることができます。
プロが提案する…あなただけのセッティング
もうひとつのパーソナライズとは、ユーザーそれぞれの走り方や好みに合わせてクルマの特性を変更するというものです。実際、サーキットなどで走りを診断して、それに合わせたセッティングが提案されることになるそうです。
例として示されたのは「曲がり過ぎて攻められない」という人のパワーステアリングを重めにしたら安心して攻められるようになりタイムアップにつながったという話。現時点では1人のスタッフしか対応できないそうですが、将来的にはAIによる解析なども可能になるかもしれません。更にOTA(オーバー・ジ・エア)でセッティングが可能になれば、サーキットなどでリアルタイムにセットアップを変更するとか、日本全国あるいは世界中でプログラムを実施するなんてことも可能になるかもしれませんね!
大きくこの2点がGRヤリス“モリゾウセレクション”の特徴なのですが、それにしても、なぜこれをKINTOが手掛けるのでしょうか? だって普通に購入した人も、アップデートできたら嬉しいですよね??
サブスクだからできる
聞くと、KINTOの車両はすべてサブスクリプションなので状態などを完璧に管理できるのに対して、売り切りで世に出た車両は、整備履歴などを100%追うことはできないというのが大きいそうです。実際、パワーアップなどが行われるようになれば、当然安全にも関わってきますし、認証の問題などにも直面するかもしれない。そう考えると、しっかりクルマの状態が管理されているKINTOで手掛けるのが、まず得策だろうというわけですね。
こうなるとGRヤリス、今後はKINTOで乗ろうという人が増えそうです。個人的にも興味が湧いているのですが、KINTOは契約期間が終了したらクルマを返却しなければならないのが悩ましい…。それでも、これまでサブスクに個人的な興味は薄かった私にそんなことを考えさせているのですから、このプロジェクトは成功の可能性、高いんじゃないかという気がしてきましたよ!
最初のアップデートは来春の予定というGRヤリス“モリゾウセレクション”。内容はまだ決定しておらず、その意味でアピール力は弱いのですが、それもかつてのトヨタのように石橋を叩いた挙げ句に渡らないのではなく、スピード感を大切に、走りながら考えているということなんでしょう。
〈文=島下泰久〉

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