世の中には、なぜか悪役になってしまうものがある。

たとえばお灸などがその一つ。
疲れを取る、血行をよくすると昔から言われているのに、「悪い子にお灸をすえる」と悪い意味合いの言葉が定着している。

お灸といえば鍼灸院などの治療の際にも使われるが、その道のプロになってくると、ニンニクや生姜などをモグサの台座にして火を付けることもあるそうだ。体を温める食べ物は、胃の中に入らなくても体を温めてくれるものらしい。

そんな本格的な物はともかくとしても、「熱いのでは。痛いのでは」と、ついつい先入観を持ってしまいがちなお灸。
そこで誰でもどこでもいつでもできる、というお灸も販売されているせんねん灸さんに、お灸についてお話を伺ってみた。

こちらの看板商品は昭和51年より販売している“火を使うお灸”シリーズ。この商品はヨモギから作られた天然モグサを紙パルプの台座に乗せたもので、台座の下に開けられた通気穴より、温熱とヨモギの成分が皮膚に伝わるシステムだ。
温度はソフトな物からニンニク成分入りの強力な物まで5段階揃っているが、熱い方が効く。というわけでもないそう。
かつてお灸は熱ければ熱い方が効くと言われ、じっと熱さに耐える人も居たそうだが実はこれ逆効果。チリリと痛い程度が目安で、熱すぎる場合はすえている間に場所を変えても問題ないという。


ところで、お灸をすえる所を“ツボ”と言うがいったいこれは何なのか。
ツボは“経穴”とも言い、目には見えず皮膚を切ってもわからない。
見えないものの存在するツボの数はWHOで認定されたものだけでも361個。さらに自分で触れて痛いと思う部分もツボであり、それを含めると人の体には無数のツボが存在する。

そもそもツボは、体内をぐるぐる巡るエネルギーの通過点のこと。
気の流れに滞りがあると通過点でもある“ツボ”に違和感が現れる。そこにお灸をすえることで血行を良くし滞りを解消。さらに免疫力を高める、というのがお灸の効果だそう。

しかしお灸をすえるにしても、とにかくツボの数が多すぎる。そこでせんねん灸さんが“とっておきの13のツボ”を選び出した。
風池・肩井・天柱・志室……と色々あるが、その中でもどのツボがオススメか聞いたところ、万能のツボと呼ばれる“合谷”(手の背面の、親指と人差し指の間に当たる部分)。そして体力増進のツボである“足三里”(立てた膝のくぼみから、指幅4本分下がった部分)。

初回は1ツボに1個。数は多くても1日3カ所まで。何日か続けるのが大切で、できれば最低でも50個はすえてほしいとせんねん灸さんは言う。

お灸は一般的に目に見えてすぐ効果がわかるものではないが、上記の“火を付けるお灸”ならかかる時間は数分程度。さらに自宅でいつでも行えるため、思ったより気軽に挑戦できそうだ。

お灸をすえるというイメージは忘れ“お灸でリラックス”と置き換えて、風邪の季節が訪れる前に体の免疫力を高めてみては。
(のなかなおみ)
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