そろそろ花火の季節。

花火の楽しみ方は多種多様ではあるが、今回は、ある楽しみ方を提示したい。
それは、業者がプロデュースする「ミニ花火大会」。その中でも、花火問屋街である浅草橋に佇む老舗「長谷川商店」のミニ花火大会に注目してみた。長谷川商店は、花火選びから、その演出まで全ての工程をコーディネートしてくれることで有名である。北海道から沖縄まで全国から注文が寄せられ、“ほぼ100%がリピーター”になるという。

“ほぼ100%がリピーター”とはオドロキの数値だが、そのワケを探りに実際にお店に行って、聞いてみた。

その秘密は、大きく分けて、2つあった

一つ目に、花火大会をプランニングする際に、小学生のような柔軟な発想も駆使して、手の込んだものが作りあげられていることが挙げられる。

それを象徴するものの一つには、空いたペットボトルとお祭りで売っているようなケミカルライトを組み合わせて花火を表現する。ペットボトルに花火をたてかけることで、四方八方に広がる花火がお花のようになり、これを何箇所かに設置することで、お花畑のようにみえる。
ただ単に、既存の花火に火をつけるというだけでなく、このような一手間が、手作り感もあいまって、“100%リピーター”要因の一つになっているのかもしれない。
長谷川商店では、一つ一つ、ビデオを利用してお客様にやり方を示すなど、かゆいところにも手が届くといった細かい配慮が見られる。そのため、大きな花火大会にはない、作っている人の「顔が見える花火大会」という部分が、より、大きな感動を与えてくれるのであろう。

二つ目は、それぞれのお客さんの視点にたって、それぞれの企画をプロデュースしているところにありそうだ。

注文は、幼稚園・小学校から、大学のサークル・町内会まで、さまざまな団体からと幅広い。
中でも、とくに、最近多いという「老人ホーム」をみてみると……。
お年寄りは、びっくりするものはあまり好まないため、大きく音を鳴らすことのない、噴き出すものや和むものを中心にプログラムを組んでいくという。そんな花火大会は、たくさんのお年寄りの心に響くようだ。

また、利用客それぞれに合った企画を提示できる大きなポイントは次の点にもありそうだ。
店主はこのようにおっしゃっていた。

「初めての方には、花火の量が多かったり、手間を要したりするような花火大会を薦めることはできません。メールや電話で打ち合わせをする際に、火をつける人が何人いるだとか、敷地面積や準備期間なども伺います。そうすることで、その団体に合った花火大会をプロデュースします」
長谷川商店では、長年の経験が蓄積されており、そのお客さんの話を聞けば、すぐに、花火大会のプランが思い描けるという。

花火大会を作り上げる「自分達」が上達することで、花火大会も成長していくのだろう。予算も1万円から受け付けているという長谷川商店のミニ花火大会。

一度試したら、あなたもリピーターになってしまう可能性は100%かも。

(ナナ)