お札を見たとき、たま~に謎の文字が書かれてることがある。

すかしや周りの白い部分にある、整理のために書いたような「a」とか「10」みたいな鉛筆書き。
昔は(今も?)「自分のお札が手元に戻ってくるか?」ってことで、イニシャルを書く人もいたんだとか。

そこで思うのが、これ法律で罰せられないんだろうかってこと。「千円札の野口さんのおでこに落書きする」、みたいな悪質なもんじゃなくたって、目的関係なくお金に何か書くのはダメなんじゃないだろうか?

財務省に話を伺った。
「貨幣(硬貨や記念貨幣)の場合は、損傷したり鋳つぶすと、貨幣損傷等取締法という法律によって罰せられます(1年以下の懲役または20万円以下の罰金)が、紙幣の場合、特段“破ったりしないでください”などの法律はないです。ただし例えば過去には、マジシャンの方から“マジックの中で紙幣を破る場合、問題になりますか?”という問い合わせを頂きましたが、やらないよう忠告というか、お願いをしました。損傷等をされますと、通貨の円滑な流通の妨げになりますので」

じゃあどうして、紙幣の法律はないの?
「貨幣の場合は鋳つぶして他の形に加工することが考えられるんですが、紙幣は紙で印字もされていますので、他の形に加工しようとしても、紙ぐらいにしかならないんですね。なので加工後の価値を考えると、取り締まる必要がないというのが現状です。また貨幣に比べまして、紙幣はどうしても破れやすく、損傷しやすいことも、取り締まりにくい理由のひとつです」
確かに、お札の価値を落とす必要がないもんなぁ。

ちなみにお札は汚れがあると、銀行に戻ったとき回収されるって聞く。鉛筆書きも汚れのひとつだから、字が書かれたお札も回収されるってことだろうか。お札を管理する、日本銀行に話を伺った。
「使用に不便ではないと判断したら、そのまま流通させる可能性はありますが、日本銀行では鉛筆書きでもできるだけ回収するようにしています。
ただし各金融機関の機械によって判別方法が違うので、回収されない場合もあります」

あと機械といえば、ATMや自動販売機でこういうお札は使えるの?
「これも機械によって判別方法が違うので、使える場合と使えない場合があります。偽札かどうか判別する中で、その条件にひっかかれば戻ってきてしまいます」

お札に数字や印を書いても、法的に罰せられることはない。でも印が入ってることで回収する必要が出るし、偽札を発見するうえで紛らわしいし、自動販売機やATMでは使えないこともある。だからお札に何か書くのは、理由がどうあれいいことじゃない。

野口さんのおでこに落書きするのも、枚数を数えて10枚ごとに印をつけるのも、通貨を流通させるうえで迷惑なのは同じ。法律で取り締まられてなくても、モラルを基準にして行動してください。
(イチカワ)
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