みなさんは、今朝どんな夢を見ただろうか? 夢こそはすべての動物が体験できる、平等にして一番安上がりな娯楽である。小野小町が『うたた寝に 恋しき人を見てしより 夢てふものは 頼み初めてき』と詠っているように、平安時代には、「自分のことを思い慕ってくれたときに、相手が夢に出てくる」と考えられていて、好きな人が夢に出てくることを切望する若者が多かったとか……なんともロマンチックな話だ。


ところで、カラーの夢を見る人、白黒の夢を見る人……2タイプの人間が存在することは、以前からときどき話題になっている。「女性の方がカラーの夢を見る」、「若い人ほどカラーの夢を見やすい」、「芸術家っぽい人がカラーの夢になりやすい」……いくつか説があるが、実際のところはどうなのだろう。

まず、10代から60代の男女40人にアンケートを実施。その結果、なんと39人がカラーの夢を見ていると回答した。ほぼ全員である。1951年の文献で「約30%の人がカラーの夢を見ている」という記述があることを考えると、あまりにかけ離れている。


この現象について、オーラソーマ(カラーセラピー)ティーチャーとして活躍されている、トゥルーカラーズの高橋雅子さんにお話を伺った。
「私が子どものころは“カラーの夢を見ると精神的に不安定”などという説もあり、カラーだとちょっと変わった人(?)なんていわれたこともありました。私はずっとカラーでしたが……。実は全ての人の夢には色がついているのですが、色についての関心度は、夢の“色の記憶”と関係しているといわれています」
色についての感性が発達していたり、色に関心が深い人は色つきのまま夢を記憶しているが、色に関心が無い場合、白黒となりやすい、とのことだ。

「現代の映像の多くは、あえてモノクロームにしない限りカラーなので、“色の感覚が鋭い人が多くなっている=カラーの夢の人が多い”といえるのではないでしょうか」

たしかに、技術の発達イコール色の発達ともいえそうだ。パソコン、ケータイの画面、学校の教科書……すべてここ10年か20年でどんどんカラフルになっているではないか。
色とりどりの世界が、多くの人の色彩感覚を自然と鍛えてきたのだろう。

たかが夢、されど夢……夢はストレス解消効果もあるし、その日のテンションを左右する存在でもある。不景気な話題の多い現代だが、せめて夢くらいは自分好みの色で華やかにコーディネートしたいところですね。
(金子大輔)