車を運転する人にとっての強敵といえば、洗車した直後の大雨と、“縦列駐車”であろう。後続の車のプレッシャーを感じながら、「このスペースに車、止めれるかな?」と苦渋の決断を迫られることはかなり精神的にタフな経験である。


このたび、とあるイギリスの数学者が、縦列駐車を完璧に行うための公式なるものを発表した。早速見てみたが、英語で何のことやらさっぱりわからないので、数学好きの知り合いに内容を聞いてみた。

知り合いによると、まず著者は、「私は車を前に後ろに切り替えして止めるような縦列駐車には興味がないのだよ!」と、グフに乗り込むランバ・ラル大尉ばりの主張を行った上で、「パーフェクトな縦列駐車」を、「一度も切り返すことなく、路肩と平行に車をとめる駐車」と定義している。

論文で紹介されているのは、このパーフェクトな縦列駐車を行うために必要な、縦列駐車のスペースが最低どれくらい必要か、というものである。
「公式」は画像をご確認いただきたい。
パーフェクトな縦列駐車のためには、駐車スペースの長さとして、自分の車の長さに加えて最低限以下で与えられる長さが必要である。


r:車の回転半径
l:フロントホイールとリアホイールの中心間の距離
k:フロントホイールの中心から車の一番前までの距離
w:駐車スペースの前にある車の車幅

一見ややこしい式だが、基本的には中学校の数学で習う、三平方の定理(ピタゴラスの定理ともいう)しか使っていないのだそうだ。

具体例を挙げると、rが5.4メートル、lが2.6メートル、kが1.3メートル、wが1.7メートルだとすると、駐車スペースに必要な長さは、自車の長さプラス1.43メートル、ということになる。

実際に利用する際に問題になるのが、wの値。他の値は自分の車のものなのでカタログか何かを見れば載っているが、wだけは人の車の車幅なので見積もりようがない。どうしたらいいんだ! と知人に助けを求めたところ、「いくつかの値を代入してみたらいんじゃね?」とのこと。

たとえば上の例で、前の車が小型車だとするとwは大体1.4メートルくらいだろう。
このとき公式の値は1.24メートルになる。また、車幅1.8メートルの高級セダンだとすると、公式の値は1.48メートルになる。このようにいくつかの値を代入してみて、フロントガラスにでも貼り付けておけば、いざというときに役立つはずだ。

論文の後半では、論文を読んだ読者からの質問への回答コーナーを設けている。「公式に車の車幅が含まれていないのはなぜですか?」については、「私も幅の広い車のほうが縦列駐車は難しいと思ってたんだけど、そうじゃないとわかってびっくりしてます」とのコメントを残している。世の中わからんことが多いもんです。


あなたの車の「駐車スペース」はいかほど?
(珍満軒/studio woofoo)