先日、NHK『スタジオパークからこんにちは』に芸人・光浦靖子が登場した際、締めくくりの視聴者からのFAXコーナーにおいて、以下のようなコメントが複数紹介されていた。

「私が男だったら好きになってました」
「私が男だったら結婚したかった」

これ、いずれも女性からのコメントである。


思えば、昔から、女性に「私が男だったら彼女にしたかった・結婚したかった」「好きになってた」と言われる女性は、けっこういるもの。
逆に、女性から「アンタが男だったら好きになってた」とか「結婚したかった」と言われる女性もいる。

自分の場合、がさつ真っ盛りの中学時代などには、「アンタが男だったら」と女友達に言われると単純に嬉しく思ったが、大人になって改めて考えてみると「それって女としてはどうなのか」などと複雑な気もする。

こうした「私が or アンタが男だったら~」という女性の仮定のセリフって、どういう心理からくるものなんだろうか。

実際に身の回りの女性たちに、この言葉を使用したときの心境、あるいはイメージを聞いてみると、ざっくりと挙がってきたのは以下のような内容だった。

●私が男だったら好きになっていた
「料理がうまいとか、家庭的」
「いい奥さんになりそうな人」
「優しくて甘えさせてくれる癒し系」
「まず相手のことを先に考えてくれる」

●あんた(相手)が男だったら好きになっていた
「頼もしい」
「性格がキッパリしていて、気持が良い」
「どんなところでも生きていけそうな強さを感じる」
「まっすぐで素直な性格」

こうした心理について、『ココロの救急箱』(マガジンハウス)、『相手の心を絶対に見抜く心理術』(海竜社)等の著書多数、ゆうメンタルクリニック院長で精神科医の、ゆうきゆう先生に聞いたところ、以下のような分析をしてくれた。


「女性に『私が男だったら好きになっていた』と言われる女性は、いわゆる『息子のお嫁さんにしたいタイプ』です。女性としての派手な魅力というよりも、家庭的なところが見えたり、母性を感じるときにこの言葉が出ることが多いのではないでしょうか。モテに直結するかは別にしても、男性から見てもプラスな要素ではあるので、素直に喜びましょう」

では、逆に、「あなたが男だったら好きになっていた」と言われる女性って?
「心理学者のユングによると、女性の心の中には『アニムス』と呼ばれる男性のイメージがあります。これは女性が無意識のうちに持っている『男性とはこうあるべき』というイメージでもありますし、女性の抑圧された男性的な側面でもあります。『あなたが男だったら』というのは、『あなたみたいな男がいたらなぁ……』という意味と、『私も本当はあなたみたいに振る舞いたいけどガマンしてるのよね』という2つの意味が含まれているのです」

なるほど。何気なく使ったこれらの言葉の、言外の意味・心理を探ると、ますます複雑……?
(田幸和歌子)