その日、私は待ち合わせの時間に間に合うかどうかギリギリのタイミングで電車に乗っていた。やばい……でも、スピーディに乗り換えをこなせば時間通りに目的地に着けるかもしれない……。
私は座席に座っていたが、気が急いて仕方なく、「間もなく○○~」と、目的の駅名を告げるアナウンスが流れると同時に席を立ち、ドアの前に立って駅への到着を待った。が、「間もなく~」と言ったわりには到着までにしばらく間があり、焦っていたせいもあるだろうが、その時間が途方もなく長いものに感じられた。

「間もなく」っていうけど「間」ってどれぐらいなんだ?! ドアが開くまでの時間、私はそんなことを考えていた。そして、翌日からストップウォッチを持ち歩き、電車に乗る際は、「間もなく~」のアナウンスから到着までに実際何秒が経過するかを計測することにした。

ちなみに、計測はJRの普通列車数路線と東京メトロの各線で行った。「間もなく」という言葉がアナウンスされた瞬間から、ドアが開いて乗降が可能になる時点までを計測している。反射神経は鈍い方なので、そこら辺はご了承いただきたい。

約1カ月ほどの間に計測した32駅分のデータから平均値を割り出すと「60.43秒」という結果になった。ほぼ1分。これぞ「間」という感じで爽快な結果だった。最短は23秒、最長で105秒という結果がでた。

ついでに、「“間もなく電車がまいります。
危ないですから白線の内側に~”のアナウンスから、電車が実際に到着するまで」も計測しておいた。こちらは21回の計測の平均値が「61.16秒」。さきほどの結果と非常に近く、これだけみると「間」=約1分と考えていいのかもしれない。が、やはり最短と最長には差があり、最短で21秒、最長は94秒となった。

JR東日本に「到着前アナウンスのタイミング」について問い合わせたところ、下記のような回答をいただくことができた。
「駅到着前の放送につきましては、話し方や内容に個人差があることから、基本的なポイントはマニュアルを作成し、訓練・研修時などに教育を行っておりますが、線区の形状や車内の状況、列車の種類などにより、必ずしもすべての列車で一致しているわけではございません。そのため、すべての列車において、統一した基準といったものは設けておりません。また、自動放送につきましても、線区の形状を勘案して、放送ポイントを決めております」

当然と言えば当然だが、路線や区間ごとに差が生じるのはもちろん、その時の交通状況によって、またアナウンスを行う車掌によって、タイミングは様々に変化するわけだ。

ちょうど新幹線に乗る機会があったので、その際もストップウォッチで「間もなく」を計測してみたが、8回の計測で平均値が「194.37秒」と、普通列車や地下鉄での数値とは大きな差があった。一駅ごとの乗降客の多さや、荷物の多さなどに配慮し、到着のだいぶ前から準備を促しているのだろう。駅によっては「残りおよそ10分で到着します」というようなアナウンスもされていた。

シチュエーションによって様々な長さに伸び縮みする「間もなく」の「間」。
この便利な言葉は電車のアナウンスだけでなく、生活の中の様々な場面に現れる。今後もストップウォッチ片手に色々な「間」について検証してみようと思う!
(スズキナオ)
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