ウッドストックフェスは1969年、アメリカで開催された伝説のロックフェスティバル。その企画者の一人であったアーティ・コーンフェルドさん(67歳)が、自身のツイッター(@artiekornfeld)に「See you at woodstock korea artie kornfeld august(8月にウッドストック・コリアで会おう)」と投稿したことが話題となった。
あわせて「ウッドストック2010」と書かれたウェブサイトも登場。そこでは8月6日から8日までの3日間、38度線の近くにて開催されることが発表され、韓国ロックファンの期待は否応なしに高まった。ネット上には、レディオヘッドやAC/DC、ゴリラズなどの大物海外アーティストが大量に押し寄せるという、都市伝説のようなラインナップ表が出回ったほどである。
しかしそれ以降、公式発表は一切途絶えてしまった。コーンフェルドさんのツイッターにも新しいつぶやきがない。情報としては日時とメールアドレスだけが書かれている、どこもクリックする場所のないシンプルすぎるホームページが、更新されることなく存在するだけであった。
この話はなかったことになったのではと囁かれていた5月末、コーンフェルドさんが電撃的に訪韓し、1次ラインナップを公開するというニュースが浮上した。
発表によると記者会見は6月1日であり、「招待状もチケットもお金も必要なし。ただ音楽を愛し、平和を愛するあなたの一歩があれば充分です」、つまり誰でも参加できるとのことだ。これは気になる!
韓国のウッドストック伝説の始まりを見届けに、筆者も記者会見に駆けつけてみました。
会場となったのは、清潭洞に位置する高級クラブ。集まった一般参加者を前に、韓国ロックバンドの演奏をはさみつつ、今回のフェスの総括指揮を担当するコーンフェルドさんの挨拶や、待望のラインナップ発表が行われる運びとなった。会場は若手バンドのライブで熱気を帯びており、参加者は会場を歩くコーンフェルドさんを見つけては、写真を撮ったりサインをもらったりと、その場の雰囲気を思いっきり楽しんでいる。
やがてコーンフェルドさんの挨拶が始まった。正式名称が「The Peace at DMZ with Artie Kornfeld, the father of Woodstock 69」となった今回のロックフェスについて、彼は「平和へのメッセージを込めたロックフェス」であることを強調。その宣言に、観客も声援で応えた。
そしていよいよ主催者側から、海外アーティストの1次ラインナップが口頭で発表されることに。会場が期待で渦巻く中、読み上げられたアーティスト名は以下の通り。
Ray Manzarek & Robby Krieger of the Doors/Skid Row/UNKLE/Young Bloods/Nobody Lives Forever/Safri Duo/Eddie Halliwell/Peyton/Bobina/Loudness/Skoop on somebody
ドアーズやスキッド・ロウの名が出た時は観客から歓声が沸いたが、当初予想されていたものとは異なる、あまり大衆的ではないラインナップに、観客の反応も鈍い。これは一体どんなロックフェスになるのか。
コーンフェルドさんはこうしたラインナップについて、「オリジナルのウッドストックも、当時のスターミュージシャンは多くはなかったが、ウッドストックを機会にスターになった」と話しており、まだ一枚もアルバムを発表していない無名バンドや、韓国のロックバンドも多数出演予定であるとしている。
なるほど、これこそ確かに昨今の商業的なロックフェスとは異なる、ウッドストック精神あふれるフェスといえるのかもしれない(と解釈)。
会場は4ステージ制で、メインステージは8万名を収容できることが発表されているが、集客力の面で疑問の声を挙げる現地メディアも。まずは今月中に発表されるという、2次ラインナップを見守りたい。
新たな伝説が生まれるかもしれない韓国版ウッドストックフェス。音楽ファンなら要チェックです!
(清水2000)