【1】目が疲れるでしょ!?
こう言ってる人は、Einkで読んだことがない人だろう。
Einkは、Kindleなどの電子書籍リーダーで使われている表示画面技術。
「マイクロカプセル型電気泳動方式」って言うらしい。
磁石のペンで砂鉄をくっつけて絵を描くボードのオモチャ、あれの凄いヤツを想像してほしい。
白と黒の粒子を、電圧をかけて移動させて表示する技術だ。
だから、液晶のように後から光を放ってくるわけじゃない。
紙と同じように、外部の光を反射して表示しているのだ。
実際に、Einkのディスプレイで読んでもらうとわかるが、目は疲れない(というか、紙の本を読むぐらいにしか疲れない)。
【2】長いのは読めないでしょ!?
上で説明したようにEinkならそのようなことはない。液晶のバックライトからくる目の疲れがないからだ。
もうひとつ。Kindleは300g。
ぼくは、Kindleで、いま太宰治の小説を年代順に読み進めている。長編も読んだ。読める。
【3】機械が壊れると本がぜんぶ消えちゃうでしょ?
Kindle Storeから購入したものなら、消えない。なぜなら購入履歴が残っているからだ。機械が壊れて、新しいものを手に入れる。そうすると、購入履歴から自動でいままで買った本を手に入れることができる。買ったはずなのに本がどこにあるのかわからなくなってる筆者にとって、電子書籍のほうが消失率は低い。
【4】立ち読みができなくなる。
基本的にサンプルが読めるようになるだろう。現状でも、Kindleならば、最初の一章ていどをサンプルとして無料で読むことが可能だ。
【5】いいモノが埋もれるのでは?
「気軽に発行できるようになって、数がたくさん出て、いいモノが埋もれるのではないか」という意見もよく聞く。ネットワークの基本がわかっていれば杞憂だとすぐ分かるだろうが、ここでは「いや、今だって、いいモノが埋もれまくってるじゃないか」と反論しておこう。
たとえば、本屋に行って『ノートルダムのせむし男』の原作を手に入れようとしても、まず手に入らない。山崎努『俳優ノート』も、伊井直行『草のかんむり』も、新刊で手に入らない(どちらも、ぼくの大好きな本だ)。すでに、いいモノが埋もれまくっているのだ。
【6】紙の手触りや匂いがなくなる
それは正しい。紙の手触りや匂いは、ない。あなたが紙の手触りや匂いを重視するのならば、紙の本で読んだほうがいいだろう。
【7】本という文化がなくなっちゃうよ
「とりわけドイツからはやりだしたあのやっかいな印刷術だの。
『ノートル=ダム・ド・パリ』のセリフだ(といっても、実は、直接の引用ではない。先ほど書いたように本屋になかったのだ。『ユリイカ2010年8月号 特集=電子書籍を読む!』に収録されている師茂樹「「公共の記憶」としての電子書籍」という論考からの孫引きである)。
本という文化を、あなたはどう捉えているだろうか?(米光一成)