メーカーの赤城乳業は、公式サイトにておそらく異例であろう「『ガリガリ君』(各種)品薄状態についてのお詫び」を8月3日付で掲載、目下、増産体制を敷いていることをあきらかにした。
こんなことになったのは、どうもテレビ番組でとりあげられたり、ツイッターなどでも多くの人が話題にしていたことも影響しているらしい。
とりわけ、何種類もある「ガリガリ君」フレーバーのなかでも“台風の目”となったのは。「梨」だった。「梨」を食べた、食べたいけど見つからない……そんな声をツイッターでも頻繁に目にした。それに対して電撃ネットワークのギュウゾウ氏が、「うちの近所(の店)では山積みだが」と写真つきでブログに書いていたりもした(「ギュウゾウ新聞」8月5日付)。
ぼくも8月6日に近所のコンビニを探したものの、「梨」は見つけられずじまい。しかし翌7日の夕方、ふたたび同じ店をのぞいてみたら、前日とは打って変わって大量に入荷されていた。増産体制の成果だろう。「梨」とともに、「チョコチョコチョコチップ」(こちらも話題商品)もたくさんあったので一緒に購入する。ちなみに、この日から翌日にかけて、ほかの「エキサイトレビュー」のライター陣にも聞いてみたところ、各地のコンビニにはたいてい「ソーダ/梨/チョコチョコチョコチップ」の3点が置いてあったとのことである(うちの近所では「コーラ味」もかなり入っていた)。
さて、肝心の「梨」だが、食べてみたところ、かなり高いレベルで梨の味が再現されていた。
それにしても、梨というまた難易度の高い(すくなくともリンゴよりはむずかしそう)果物をよくぞここまで再現したものである。となり町がブドウとともに梨の産地であるぼくも、これには太鼓判を押しましょう。
そもそも、固いだけだったアイスキャンディーに、中身に氷を詰めこむことで“ガリガリ”という食感をもたらすという、「ガリガリ君」の基本コンセプトそのものが革命だった。「梨」の登場は、その革命のさらなる一歩、ともいえそうだ。
食感ということでいえば、ことし5月に発売されたという、「ガリガリ君」の「コーヒーゼリーミルク味」も気になっていた。公式サイトによれば、「チルド飲料のような定番コーヒーミルク風味のアイスキャンディーとカキ氷、コーヒーゼリーの組み合わせ。コーヒーゼリーが、口の中でプルプルとしたゼリーに戻り、ガリガリのカキ氷との食感の組み合わせを楽しめます」と紹介されているこのフレーバー、いったいどんなものなのだろうか? やはり食感で話題を呼んだグリコ乳業の「ドロリッチ」をアイスキャンディーに流しこんだようなものなのか……。
気になって、「梨」とあわせてコンビニで探したり、ツイッターで情報を募ったりしていたのだが、一向に見つからない。ここは、赤城乳業の「お客様相談室」に直接問い合わせるしかあるまい、と電話をかけてみた。
返ってきたのは、衝撃の回答だった。
しかし、そんな短期間のうちに商品を入れ替えるとなると、いずれ「梨」も……? 気になってこれについても尋ねてみたら、「梨」もまた、問い合わせした時点(8月11日)ですでに生産を終了しており、あとは出荷された店の在庫分を売り切るだけだという。遅くとも9月中旬には、日本全国の店舗から「梨」は消えるのだ。どんなに売れていても例外はないようである。なんとも厳しい、「ガリガリ君」の掟(?)であった。
そんなわけで、「ガリガリ君・梨」とは、来年再発されないかぎり再会できるかどうかわからない。もしコンビニなどで見かけたら、とりあえず買っておくことをオススメする。帰省先の地方など、案外まだ店に在庫が残っていたりするかも。
ついでながら、読者のなかに「コーヒーゼリーミルク味」をもし賞味されたという方がいたら、お知らせくださいませ。(近藤正高)