(詳しい作品レビューはこちら「『水曜どうでしょう』の“ミスター”激白! 自伝的私小説第二弾『ダメダメ人間』」)
――まさかこんなに早く『ダメ人間』の続きが読めるとは想像していませんでした。
鈴井 なんで書いたんでしょうね。いや、僕自身もいずれは続編を出す日が来るだろうとは思っていたんですよ。前作の『ダメ人間』は20代の頃の話ですからね。でも、まさか丸一年後に出すことになるとは……。周囲からプッシュされて、そのプレッシャーに耐えきれなかったということでしょうね。完全なるダメ人間ですね(笑)。
――今回は書き上げたときの後悔はなかった?
鈴井 後悔しましたよ! 脚本や小説みたいなフィクションならいいんですよ。否定されても「架空の物語ですから」と言い訳もできる。でも、この『ダメダメ人間~それでも走りつづけた半生記』はいわば、僕の分身。つまり、僕の人生が全否定されかねない。達成感より「いいのか、これ出しちゃって……」という戸惑いのほうが大きかったですね。
――今回の本の中には、大泉洋さんやディレクター陣との出会い、番組名を決める際のエピソードなど、“どうでしょう”ファンにはたまらない秘話がたくさん登場します。
鈴井 番組名はホント、どうでも良かったんです。「モーニング娘。」が良い例ですけど、いったん定着すると誰も疑問を持たなくなるでしょう。名前なんてそんなもの。とはいえ、藤村ディレクターから出てきた「花と筋肉」という案はさすがに却下しました。略して“ハナキン”ですからね。水曜日なのに!(笑)。
――「水曜どうでしょう」(HTB)といえば、公式サイトのブログに「しばらく旅に出ます」と書き込まれたことをきっかけに「4年ぶりに、いよいよ最新シリーズ登場!?」と、話題になっています。
鈴井 ええ。ロケは行いました。いろんな噂が流れているみたいですが、どれがホントでどれがウソなのか……これ以上は何も言いませんよ! 何も言えませんから!!
――大げさに取材陣から顔をそらし、爆笑しながら「何も言いません!」と連呼する鈴井さん。ちなみに、今回のロケは楽しかったですか?
鈴井 だから、言えないんですって! ……まあ、大泉君もブログに書いていたし、これくらいはいいのか。
――来月6日からは「OOPARTS」(オーパーツ)の旗揚げ公演も始まります。
鈴井 OOPARTSは鈴井貴之名義ではできないことをやるために立ち上げたプロジェクトです。“どうでしょう”をはじめとするこれまでの仕事を“白・鈴井”としますと、新たに“黒・鈴井”として活動できるフィールドを生み出したというわけでございます。
“黒・鈴井”って何!?
次回の「鈴井貴之・新刊インタビュー」は“黒・鈴井”の謎に迫ります。お楽しみに!(島影真奈美)
鈴井貴之
1962年北海道生まれ。CREATIVE OFFICE CUE代表取締役社長。北海道を拠点に『水曜どうでしょう』『ドラバラ鈴井の巣』(HTB)などヒット番組を手がけるタレント・構成作家であると同時に、映画監督、作家、ラジオパーソナリティと、表現の形を変えながら、数々の作品を生み出してきた。愛称は“ミスター”。