視聴率20%超えを連発したNHK朝の連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」が先週末25日、ついに最終回を迎えた。原案は漫画家・水木しげるさんの妻、武良布枝さんの自伝エッセー
無名の漫画家と結婚したヒロインが、極貧生活を乗り越え、やがて夫と一緒に夢をつかむ姿を描いた作品だ。

Twitter上でも連日、感想が飛び交う人気ぶり。中でも熱心だったのが漫画家陣だ。ドラマ最終週にはTwitterアイコンをゲゲゲ化(ゲゲゲの鬼太郎や目玉おやじなど、水木作品に関連する絵柄に変更)するという“ゲゲゲアイコン祭り”が開催されていた。プロをも惹きつけてやまなかった「ゲゲゲの女房」(以下、ゲゲ女)の魅力とは? エキサイトレビューの執筆陣の一人でもある、マンガ家のうめさんに協力を仰ぎ、漫画家さんたちに聞いてみた!

◆青木俊直さん @aoki818
漫画家の井荻寿一さんがドラマ最終週をゲゲ女っぽいアイコンで過ごすとツイートされていたのを読んで「あ、オレも」とマネをしたんです。そんな井荻さんとボクのやりとりをおそらく見ていたであろうフォロワーの皆さんが次々と自身のアイコンを“ゲゲ女”化していった。それを見て、まとめて並べたら面白いだろうなぁとリストにしたのが“ゲゲゲアイコン祭り”のきっかけ。でも、当初は「祭をしよう」とか「盛り上げよう」ということは考えていませんでした。

アイコン祭りといえば、@fukubukuroさんがまとめられた「漫画家さんのTwitterゲゲゲアイコン祭り」を語らないわけにはいきません。漫画家さんたちが描いたゲゲゲアイコンや関連画像を集めた、このアーカイブがあってはじめて、お祭りとしての高揚感が出たと思います。@fukubukuroさんのページとボクのリストが、両輪となって祭りの山車を転がしたんでしょうね。

最終的にリストでは419人の方をフォローさせていただきました。

アイコンを最後に記念写真と称してグリットに並べてみたら、とても壮観でした。ボクは単にまとめてリスト化しただけなので「祭の提案者」でもなんでもないのですが、参加した一人としてこの壮観なアイコンの並びに自分も居られたことはとてもうれしいです。

「ゲゲゲの女房」という作品は役者、脚本、演出どれも素晴らしかったです。目先の変わったことやケレン味を出そうとはせずごく真面目に真摯に作られていたのがよかった。作り手のこの作品に対する思いが伝わってくるような気がしました。

マンガ描きとしては、劇中に数々登場するマンガに対する含蓄あるセリフにうなり(豊川編集長の「ザラッとする」は今でも心で唱えてます)、また一週間を6回に区切り、そのなかで山あり谷ありのお話をしっかり飽きさせずに見せていく、その話の作り方にも唸りました。伏線の使い方もうまかった。今までこんなに一生懸命、朝の連ドラを見たことはなかった。最終回をこんな気持で待つドラマもありませんでした。

たぶんTwitterがなければ、ここまで熱心にならなかったと思います。タイムラインで番組に対する思いを共有できて楽しかった。「ゲゲゲの女房」はツイッターでのこの楽しさとともにずっと心に残るかけがえのない作品になりました。

(あおきとしなお/近著に『なのはなフラワーズ<1>』など)

◆松田洋子さん @matuda
国民的漫画家は他にもいるけど、水木さんみたいに御本人も愛されてるのは珍しいのでは。国民的妖怪のようなものかと。漫画の規制問題が騒がれた時にドラマも貸本漫画が弾圧されてたシンクロぶりに胸を熱くした漫画家多数。そういう偶然が起こるのも妖怪ぽかったかも。漫画家といやあ親不孝商売みたいに思われてたけど、ちょっこし親を安心させられたのもありがたかったです。
(まつだひろこ/近著に『相羽奈美の犬<1>』『薫の秘話』など)

◆伊藤静さん @isizisi
ゲゲゲの女房に教えられたのは『どんな状況下でも一番肝心なのは、自分の心の有り様だ』という事でしょうか。 明るく飄々と生きるという事は、実はとてつもない強い意志が必要だと思います。 だからこそ、あのご夫婦に憧れるのかな〜、と思っています。
(いとうしずか/近著に『なんじゃもんじゃ』(全6巻)、『福助』(全2巻)など)

◆太田垣康男さん @ohtagakiyasuo
漫画家の生活は世間が思っているほど華やかではなく、生き残る事が奇跡に近い過酷な業界です。人気が無くなって仕事が来なくなっても生活は続く。稼ぐ方法は漫画だけ。でもその漫画が売れない。
ここで転職できる人は幸せでしょうが、自分の人生は漫画しかないと心に決めた人にとっては生き地獄です。そんな時期を、夫を信じて支え続けた女房の姿と、支えられた事で諦めずに描き続けた水木先生の姿に、同じ思いを知る多くの漫画家さん達が感動したんだと思います。

いま一人で闘っている人は、そんなパートナーが欲しいと願う憧れから。

『ここが凄かった』を挙げるとしたら、それはもちろん「来るべき時が来た」これに尽きます!私も、他の多くの漫画家さんも、「来るべき時」が来る事を信じて描き続けています。自分の描いている漫画が多くの読者に届く日。その喜びを味わいたくて私達は今日も漫画を描いています。ゲゲゲの女房からは沢山の感動を貰いましたし、ツイッターを通じて同じ思いの漫画家さん達と交流するキッカケも頂きました。自然発生的に始まったゲゲアイコン祭は、『自分も描き続ける人になる』という多くの漫画家さんの意思表示だった気がします。
(おおたがきやすお/近著に『MOONLIGHT MILE <20>』『FRONT MISSION DOG LIFE & DOG STYLE<5>』など)

コメントまだまだ続きます。

じつはTwitter経由でコメントをいただいて、最後にうめさんに解説コメントを……というのが当初の目論見。ところが! 「140字以内にまとまらないのでメールで返信してもいい?」という問い合わせが続々届くという嬉しい誤算。というわけで、全面協力してくれた、うめさんが登場する隙がないまま、
後半
へ!(島影真奈美)
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