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Ubrain - Digital Reality
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バイノーラル・ビートとは、左右で若干周波数がずれたサウンドをヘッドフォンなどを介して聞くと、「うぉんうぉん」という「うねり音」が聞こえる現象のこと。これ、適切な周波数で鳴らすことで、脳波に刺激を与えて、気分などを一時的にコントロールできるんだそうです。この「ブレイン・ウェーブ・エントレイメント」効果を応用した音楽CDや専用商品は、すでに数多く発売されています。
ところが、これ自体はうねり音なので、長時間聞き続けるのはハッキリ言って苦痛です。また勉強前に集中力を高めたい、睡眠前にリラックスしたいなど、目的別に適切な周波数も異なります。じゃあ、iPhoneで好きな曲を聴きながら、適切な周波数を発振できないか……。これを実現したのが「Ubrain」というわけです。
使い方は簡単で、最初に自分の声質にあったバイノーラル・ビートを、ソプラノからバスまで6種類から選んで登録します。単に「あ~」と声を出して、バイノーラル・ビートの高さと一番あうものを選べばOKです。
次に「I AM」で今の状況(勉強している、働いている……)、「I FELL」で今の気分(イライラしている、疲れている……)、「I WANT」でどんな気分になりたいか(集中したい、暗記したい……)を、それぞれ選択します。すると、その条件に最適な周波数が数種類表示されるので、説明を読んで、一番ぴったり合うものを選んでください。
最後にiPhoneのプレイリストに入っている曲を選択して聴くだけで、アプリ内のバイノーラル・ビート「Ubrain beats」が曲にあわせて再生され、脳波に刺激を与えてくれます。バイノーラル・ビートの種類はさまざまで、中には分配機とヘッドフォンを2つ用意して、カップルで聞くとオススメの「ロマンス」なんてのもあるほど。再生履歴からバイノーラル・ビートをすぐに選べる機能もありますよ。
でもでも、せっかくの音楽も「うねり音」で台無しになるのでは……。なんて心配もご無用。再生中にバイノーラル・ビートのボリュームを増減でき、うねり音が聞こえなくても、ちゃんと効果があるんだそうです。担当者に質問したところ、「音が聞こえなければ、本当にバイノーラル・ビートが効いているか確認できないため、あえて調節可能にしてある」とのこと。これなら常にUbrain経由で音楽を楽しみたくなりますね。
効果のほどはというと……。ぶっちゃけ判断がつかないのが本音かも。ただ、気分を変えるために音楽を聞くって、日常のありふれた光景ですよね。その効果をさらに高めるためのサプリメントと考えれば納得です。
その先進性は海外で高く評価されており、Xbox 360の体感ゲームシステム「Kinect」などと並んで、「European Innovative Games Award 2010」にも選出されました。
ちなみにバイノーラル・ビートの発見は1839年。ブレイン・ウェーブ・エントレイメントの効果については、1973年にニューヨーク・マウントシナイ病院のジェラルド・オスター博士の研究など、70年以上の歴史があるそうです。こうした研究事例をエンタテインメントでうまく包んだ、正露丸糖衣Aのようなアプリ……とでもいいましょうか。
というわけで僕も昼休みにUbrainで音楽を聴きながら、午後の仕事に備えることにします!(小野憲史)