友達と一緒にいるとき、あからさまに時間をチェックされると少しヘコむ。腕時計を見てたり、壁時計をチラ見されたり。
「もう、この人は帰らなきゃいけない時間なんだろうな」と、気づかされる仕種。

しかし、こんな時計だったらそうは思わないかもしれない。「素敵な絵画だな」と感心してるだけかもしれない。オンラインショップ「密買東京」で販売されている『Canvasworks(キャンバスワークス)』は、パッと見はただの絵画だけど、実は時計でもある。

『Canvasworks』の絵画には、2種類ある。1つは、「ビルの見える公園」(税込み16,800円)。もう1つは「駅前の街並み」(税込み21,000円)。
そして、2つの絵画のどちらにも時計が描かれており、よく見ると針が動いている。風景画かと思いきや、時計。それも、ガチの。絵を見ながら、何時何分かがわかる。

どうして、このような作品を思いついたのか? 制作者であるデザイナーデュオ「能登夫妻」に伺ってみた。

「ある時、ボーッと壁に飾られた抽象画のキャンバスを見ていたら、いくつかの連想が連鎖して、この一連のシリーズのアイディアができました」
クリエイティビティの源泉は、日常にあるのか。木からリンゴが落ちるサマを見て、引力を発見したニュートンみたいな。

また「能登夫妻」が非常に苦労した点は、“時計がある場所”を見つけること。探してみると、意外に無いらしい。
そこで、知り合いに声をかけては“時計がある場所”の情報を収集。情報を入手したら、実際にそこに行って確認。ようやく見つけた普通の景色が、「ビルの見える公園」と「駅前の街並み」なのである。

この作品は2009年から発売されており、反響も続々と届いている。
「来客の際、お客さんに『今、何時?』と聞かれたとしますよね。その際に、この絵を見て答えると『どこ見て答えてるの?』と、驚かれることが多いみたいです」(能登夫妻)
狙い通りというか、期待していたリアクションというか、その反応が嬉しい。

また、“時計がある場所”探しに苦労した「能登夫妻」は、情報を待っている。もし、素敵な“時計がある場所”をご存知だったら、皆さんに教えてもらいたがっている。
それどころか、撮影して送ってほしいぐらい。それほどの待望っぷり。

寄せられた情報を元にした、新しい『Canvasworks』が制作されるかもしれないのだ。
あえて普通の景色を描いてるだけに、絵画初心者にも打ってつけの作品である。
(寺西ジャジューカ)
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