ここ数年の間、タッチパネルの画面がずいぶん世の中に増えてきた。だけど僕は、このゲームをやっている時ほどタッチパネルの感度に集中する事はない。
ニンテンドーDS用ソフト
「スーパーカセキホリダー」
だ。

本作は2008年に出た
「ぼくらはカセキホリダー」
の続編にあたるRPGで、主人公が最強のカセキホリダーを目指すストーリー。化石を掘ってそこから復元した恐竜で戦うカセキバトルが、カセキホリダーの活動だ。すごい世界観。

なんだ恐竜バージョンのポケモンか…と思う人も多いかもしれない。確かに本作はたくさんの種類の恐竜を育成してそれを戦わせるゲームだが、重要な要素は化石の発掘から復元であり、そこに強烈な味わいがあるんだ。頼む、聞いてくれ。化石の持つ古代のロマンを。

まず、パッケージを見て驚く人も少なくないはず。主人公たちが手に持っているのはドリルピッケルである。掘る気満々。様々な地形や地質のフィールドから、様々な種類の岩を掘り当てて持ち帰り、それを丹念にクリーニングしてカセキを削り出す。
この作業が意外と本格的で作り込まれており、操作性もシステム的な深さも、しっかり夢中にさせてくれる。

冒頭に書いたタッチパネルのくだりがこのクリーニングの作業中の事なのだが、カセキを傷つけないように、しかし制限時間に間に合うように作業を完結させなければいけない。ハンマーで大雑把に砕き、ドリルで歯医者のように削る。削ると岩クズが画面中にたまるので、こまめにマイクに息を吹きかけながら。

カセキの入ったカセキ岩にも色々種類があり、表面と裏面から削る必要があったり、画面に入りきらない大きさの岩をスクロールしながら削ったり、こちらを混乱させる仕掛けも。一方、X線を岩に当てて中身を確認したり、岩の急所を突く事によって一気に岩がカセキからはく離したり、理にかなった感じの面白い演出もある。

そしてこの作業をより一層奥深い物にしているのが「ポイント」の存在だ。上手に削れたかどうかでカセキのポイントが評価されるのだが、このポイントが、復元してバトルに使う恐竜の強さに直結する。多くのRPGでは経験値を貯めてレベル上げをしてキャラクターが強くなるが、本作では戦闘によって得られる経験値の比重は低めになっている。10回のカセキバトルよりも、1回きれいにカセキが削れた方が評価されるこのシステムが、昨今の「時間さえかければ最強になる」ゲーム群との違いを出せていて素晴らしいと思う。

復元(リバイブ)したカセキはリバイバーと呼ばれるのだが、ティラノサウルスやトリケラトプスはもちろん、翼竜・マンモス・アンモナイト・サーベルタイガー・水牛なんでもアリでにぎやかだ。始祖鳥もいるし、僕の好きなカンブリア紀のスター・アノマロカリスもしっかり登場していた。
図鑑モードではそれぞれの恐竜についての生存していた時代や分布などが記載されており、福井県立恐竜博物館が監修協力しているのも読んでいてテンションが上がるポイント。読んでてかなり勉強になった。

歯石や遺跡も良いけど、掘るならやっぱり化石! センスと集中力で100点満点の奇跡を掘り起こせ!(香山哲)
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