「カプリチョーザ」風 トマトとニンニクのスパゲティ
日本のイタリアンの草分けとも言うべき、カプリチョーザの定番メニュー「トマトとニンニクのスパゲティ」。人気メニューだけあって、2ちゃんねるやmixiなどあちこちに再現レシピや「流出!」と言われるレシピがありますが、トマト缶、ニンニク、鷹の爪、塩コショウにオレガノに砂糖やはちみつなどの甘味料、それに粉チーズをベースにした独自の調味料ミックスを加えるというのが定説になっています。つまりカプリチョーザの味に迫るには、このミックス調味料の味を解き明かすのがポイント。巷の再現レシピの傾向をまとめると、粉チーズ+「グルタミン酸」(味の素、昆布茶など)+「イノシン酸」(コンソメ、鶏ガラスープの素など)という3つの要素から成り立っているよう。この要素のバランスを近づければ、おのずと近い味にはなるはずです!
『包丁人味平』の味平ライス
料理マンガの元祖とも言われる『包丁人味平』(作・牛次郎/画・ビッグ錠)に登場する味平ライス。何のことはないチャーシュー入りのチャーハンです。普通のチャーハンとの違いは味つけが塩やしょう油でなく、チャーシューを煮たしょう油ダレを使うところ。そう聞くと、思い出すのは京都・新福菜館の焼き飯! ファンの間で「黒炒飯」とも呼ばれるあの味がひとつの目安になりそう。チャーシュー用に作ったしょう油ダレ次第で味が決まるので、好みの味のチャーシューさえ作っておけば、マイベスト「味平ライス」が手に入るはず。半熟の目玉焼きを乗せれば、再現度はさらに上がります。
2ちゃんねる 鳥はむ
「これ、再現じゃなくね?」と各所からツッコミが入りそうですが、そもそもレシピをなぞるという行為は再現に違いないので、入れておきましょう。「鳥はむ」が世に出たのはいまから10年前の2001年頃のこと。2ちゃんねるの「鶏肉 むねVSもも」スレッドに「鶏肉で作ったハムもどき」のレシピが登場し、一躍脚光を浴びました。2011年1月現在スレッド数はPart32まで伸び、もはや無限とも思えるレシピが投稿されています。料理のソーシャル化という新ジャンルを独走する鳥はむ。どのレシピ、どの味わいを元に再現するか、選び放題&アレンジし放題。進化する鳥はむからは、2011年も目が離せません!
『大市民』の白菜鍋
「白菜と豚バラの重ね蒸し」という名前でも耳にするこの料理、超シンプルでメチャ旨いのはご存じの方も多いはず。『セイシュンの食卓』の中年版とも言えるマンガ『大市民』(柳澤きみお)版では土鍋に少量の水と昆布の切れ端を入れ、その上に切った白菜と豚バラ肉を交互に重ねていきます。白菜をトロトロにするために、通常とは違う一手間が入るのが『大市民』版の特徴なのでぜひこの行程も含めて紹介したいところ。たっぷりの大根おろし+万能ネギ+ポン酢をかけて口に運び、主人公の山形鐘一郎のように「美味し!」と口走ってみたい!
銀座「バードランド」風 レバーパテ
日本を代表する焼き鳥の名店「バードランド」の名物、レバーパテ。専門店のレバーパテは素材・調理とも別格ですが、レバーパテの場合、きちんと作ればかなりのところまで近づくことはできます。コツはレバーの臭みをきちんと抜くことと鶏のコクを残すこと。
牛込柳町「つず久」風 わさびめし
再現度で言えば、これが間違いなくNo.1! というのも、炊きたての白飯の上に下ろしたての山わさび(えぞわさび)をひとつかみ盛ったら、しょう油を一回し。あとは刻み海苔をふりかけるだけ。脳天にわさびの辛味がツーンと抜け、涙ぐみながらも、箸が止まらなくなります。コツはただひとつ、美味しい炊きたてごはんと力を入れてすり下ろしたばかりの山わさびを用意すること。これに尽きます。
「ホテルオークラ」のフレンチトースト
海外の要人が絶賛するというホテルオークラのフレンチトースト。分厚いパンの内部まで上品な甘さの卵液がしみていて、まるでスフレのような舌触り。もはやパンとは思えぬ極上の味わいの一皿です(※食材はまぎれもなく食パンです)。本家ホテルオークラも「シェフのこだわりレシピ」を公開していますが、どうもこのレシピ、誰でも作れるように工夫されたフライパン用のレシピのよう。何度か作ってみましたが、焼き目など仕上がりから考えると、じつは本当のレシピは少し違う作り方をしていると思われます。もう少しお時間を頂きたく!
その他、今年もリアル店舗で出会った旨いモノや、小説・マンガなどの作中に登場する旨そうなものレシピをザクザク上げていく予定です。話は変わりますが、昨年末アライユキコさんから頂いた、忘年会告知メールで僕の肩書きが「編集者・ライター・料理人」になっていました。「えっ?」とツッコんだところ「自重して『料理人』の順は最後にしました」との回答が。順番の話じゃなかったつもりですが、こうなったらお手すきでプロフィール欄に「料理人」を追加しておいて頂けると助かります。(松浦達也)