アロマオイル。癒されますよねぇ。
日々の生活におけるイライラや憂鬱な気持ちを、その不思議な力で解消してくれる、アロマテラピー。

ただ、これから紹介するのは今までと少し毛色が違う。鳥取大学の医学部内にあるベンチャー企業「株式会社ハイパーブレイン」が、『リ・ブレイン』なるアロマオイルを昨年の4月より発売中。
実はこれ、日本の認知症研究家の第一人者である浦上克哉教授が開発したものらしいのだ。

この浦上教授、今も鳥取大学病院で患者さんの診療を行う先生でもある。そんなスペシャリストによる20年以上の研究と臨床経験から、驚くべきことがわかり始めているそうで……。
それは、「認知症のお年寄りは、鼻が悪い」という事実。
そこで浦上教授は嗅覚と老化の関係性に着目し、認知症患者に特定の香りを嗅いでもらう療法を行ってみた。すると、実際に改善事例(認知症の進行が遅れる、等)が表れるという結果を獲得! そして、療法実施中に見出されたレシピを商品化したものが、今回の『リ・ブレイン』なのだ。

じゃあ、気になる。そのアロマオイルは、どんな香りがするのか? 言うまでもなく、実際に取り寄せて嗅いでみました。
実は、このアロマオイルは昼用、夜用に分かれています。
当然、香りも効果も違うワケで。まず、昼用について。これが、何とも“スーッ”とする。例えて言うならば、ホールズを舐めて感じる、あの“スーッ”という爽快感。シャキッとさせてくれ、思わず目が覚めていく。
そして、夜用アロマ。
こちらは、まさに柑橘系! このオレンジのような香りを嫌いな人は、まずいないだろうな……。

そんな、このアロマオイルのレシピについて同社に伺ってみました。
まず、爽快極まりない昼用。こちらは人間の体を刺激するローズマリーとレモンの精油をブレンド。意図的に「ちょっと匂いすぎる」という位に強い刺激の香りにしている。その香りの強さで交感神経を刺激させ、やる気、記憶力、集中力を高める効果を狙っているらしい。

一方の夜用だが、夜はもちろん寝る時間。そこで、ラベンダーとスイートオレンジの精油をブレンドした。この香りによって副交感神経を刺激し、精神の安定や入眠効果を高めていく。そのため、香りは穏やかなものに調節されている。
そんな上記の2レシピは、療養型病院などで実際に使用され、最も効果があったものだそう。

では、昼用夜用をどのように使っていただきたいのか?
まず認知症患者に多いのが、夜に起き出して徘徊する高齢者。
そうさせないためにも、夜用のアロマでぐっすり寝てもらう。これで、認知症患者に対する一番の悩みを解決したい。
もう1つ、気がかりなのが“高齢者ドライバー”の問題。そこで、車内に昼用の刺激の強いアロマを活用してもらう。そうすれば、高齢者も運転時に眠気がなくなり集中力が高まるというワケだ。

また、このアロマオイルが画期的な理由は、現代の認知症治療の現状と照らし合わせてみるとわかりやすい。

現在、認知症患者に処方される薬は“進行を遅らせるもの”のみしかないという。要するに、根本を治すものではない。
そこで、今回の『リ・ブレイン』。これを中高年の時点から活用していけば、認知症の予防に効果を発揮する。認知症は発症までの潜伏期間が5年といわれており、その間は病院に行かず、ただの「老化」と思って時を過ごすだけだとしたら、認知症が進行してしまっているかもしれない。それを防ぐためのアロマオイルがコレ。まさに“癒し”目的ではなく、“認知症予防”のための商品と言えよう。

また、すでにこのアロマオイルは高齢者の介護施設などでも実際に使用されており、「使用すると表情が穏やかになった」などの効果を得ているという。事実、リピート率は非常に高い。

この『リ・ブレイン』は鳥取県米子市にある直営ショップや専用サイト等で販売されている。価格は1本3,990円(税込み)、昼夜用セットで7,770円(税込み)。

実は現在、65歳以上の高齢者の10人に1人が認知症、20人に1人がアルツハイマーという事実があるという。
そのように「なってから」ではなく、「なる前」の予防のために開発された、新しいアロマオイルである。
(寺西ジャジューカ)