都内に住んでいるボクはスーパーマーケットが好きです。見知らぬ店を通りがかったら、店内を一周したりもします。
ところがこの数日、そのスーパーが楽しい場所じゃなくなってます。殺伐とした空気が漂っていて、見たことがないほど大量に商品を詰め込んだ袋を抱えている人もいます。どんだけお腹減ってるんだ……。しかも悲しいことに、普段スーパーに足を運ぶのを楽しみにしてる(と思われる)、おじいさんやおばあさんが空っぽの棚の前で、困り顔で立ち尽くす光景を見たのは一度や二度じゃありません。
地震が起きた11日(金)はいつも通りでした。知り合い同士は「恐かったわね」などと言いつつも、いつもの品揃えにいつものにぎわいがありました。12日(土)には少し様子が変わりました。パンが棚からなくなり、スナックやパスタ、カップ麺がかなり品薄になっていました。13日(日)にはカップ麺やスナック、パスタもなくなり、保存食はそうめんやうどん、それに冷凍食品が少し。
ちなみに現在、店頭の棚にモノがない理由は主に3つ。1.被災地への支援物資が最優先になっていること。2.一部生産工場の稼働率が落ちていること。3.品薄感に煽られた人の殺到。一部物流にも混乱はあるようですが、報道や店員さんの話を総合すると、最大の理由は3。「おまいら、落ち着け」という話のようです。
日常、当たり前のようにあるはずのモノがないと「ヤバイ!」と思ってしまう気持ちもわかりますが、あわてることはありません。少なくとも日持ちしないパンや、非常食に不向きなパスタを買い漁る必要はないんです。
えっ? パスタは保存食じゃないかって? という古いフリから入りますが、そうなんです。実はパスタは非常食にあまり向かない食べ物なんです。茹でるのに大量のお湯が必要ですし、茹でるのにも8分前後、加熱し続けなければならない。被災したときに、もっとも貴重なお湯(水)と電気・ガスなどのエネルギーを必要とする、非常食に向いていない食材なんです。
つまりこの先、物流が復活したときに、備えておきたいのはパスタのような太くて硬い麺ではなく、「細くてやわらかい麺」。つまり「そうめん」です。一番のおすすめはコンビニやスーパーでよく見かける「揖保の糸」の手延べそうめんですが、機械延べのものでも構いません。それはなぜかというと……。
1.そうめんは細くて短い!
よくスーパーやコンビニで見かける高級そうめん「揖保の糸」はレギュラー品の直径が07mmから0.9mm。つまり麺が細くて茹で時間が短いのです。
2.お湯を注ぐだけでもOK!
万が一のとき、燃料はないけどお湯は手に入るということはあるかもしれません。そして少なくとも「揖保の糸」×熱湯はカップラーメン代わりになります。湯呑みやカップに4つくらいに折ったそうめんを入れてお湯を注いで2~3分待てば十分食べられます。アルデンテのパスタでお腹をこわすような人には不向きかもしれませんが、「揖保の糸」や機械延べのそうめんなら、火がなくても何とかなります。ちなみにそうめんは機械延べと手延べで太さの規格(JAS規格)が異なります。機械延べは1.3mm未満。手延べは太さ1.7mm未満であれば「そうめん」を名乗ることができます。
3.どんな味つけでも合う!
そうめんの原料は小麦粉です。小麦粉原料の食材と言えば、パスタやうどん、中華麺などさまざまな麺類に使われます。なかでもそうめんの麺は、比較的シンプルで小麦の味わい十分! つまり和洋中、いずれの麺料理のレシピやソースが応用可能なのです。例えば、2.の「お湯を注ぐだけでOK」を応用すると、カップみそ汁との組み合わせも考えられます。また注いだお湯を先に飲んで温まり、そこにソースをかければカップ焼きそば風にもなります。
今日はそうめんを例に挙げましたが、昨日も店頭にパスタはないのに、もっと短時間の調理で済む緑豆春雨やレトルトのチャプチェが残っていたり、栄養満点の板麹などは棚に大量に残っていました。いずれも保存食なのに……。だいたい、ストックのつもりで買っても、その日に食べたらストックになりませんし、パンなどそもそもストックになりません。瞬間的に物資不足になっているいま、買い占めに走るくらいなら、家の電気を全部消して、営業している飲食店で楽しく外食した方が節電にもなります(断言)。
(松浦達也)
買うつもりなんてなかったのに、店を出るとき右手にブロック肉を抱え、左手に長ネギを挿した袋を提げていたりします。そう。スーパーはとても楽しい食欲のワンダーランド((C)フルタチイチロー)なんです。
ところがこの数日、そのスーパーが楽しい場所じゃなくなってます。殺伐とした空気が漂っていて、見たことがないほど大量に商品を詰め込んだ袋を抱えている人もいます。どんだけお腹減ってるんだ……。しかも悲しいことに、普段スーパーに足を運ぶのを楽しみにしてる(と思われる)、おじいさんやおばあさんが空っぽの棚の前で、困り顔で立ち尽くす光景を見たのは一度や二度じゃありません。
地震が起きた11日(金)はいつも通りでした。知り合い同士は「恐かったわね」などと言いつつも、いつもの品揃えにいつものにぎわいがありました。12日(土)には少し様子が変わりました。パンが棚からなくなり、スナックやパスタ、カップ麺がかなり品薄になっていました。13日(日)にはカップ麺やスナック、パスタもなくなり、保存食はそうめんやうどん、それに冷凍食品が少し。
でもいずれも品薄でした。ホワイトデーの14日(月)には保存食はほぼ全滅、ただし精肉など生鮮食品は余裕がありました。そして15日(火)は夕方の時点で精肉コーナーまでほぼ全滅。せっかく来たけど商品がないから……という心理なのでしょうか。でもみんなちょっと買いすぎじゃない? なんでいま、パンみたいに日持ちしないものを買い漁るのか……。水なんてカラのペットボトルに水道水を詰めておけばいいんだし。
ちなみに現在、店頭の棚にモノがない理由は主に3つ。1.被災地への支援物資が最優先になっていること。2.一部生産工場の稼働率が落ちていること。3.品薄感に煽られた人の殺到。一部物流にも混乱はあるようですが、報道や店員さんの話を総合すると、最大の理由は3。「おまいら、落ち着け」という話のようです。
日常、当たり前のようにあるはずのモノがないと「ヤバイ!」と思ってしまう気持ちもわかりますが、あわてることはありません。少なくとも日持ちしないパンや、非常食に不向きなパスタを買い漁る必要はないんです。
えっ? パスタは保存食じゃないかって? という古いフリから入りますが、そうなんです。実はパスタは非常食にあまり向かない食べ物なんです。茹でるのに大量のお湯が必要ですし、茹でるのにも8分前後、加熱し続けなければならない。被災したときに、もっとも貴重なお湯(水)と電気・ガスなどのエネルギーを必要とする、非常食に向いていない食材なんです。
つまりこの先、物流が復活したときに、備えておきたいのはパスタのような太くて硬い麺ではなく、「細くてやわらかい麺」。つまり「そうめん」です。一番のおすすめはコンビニやスーパーでよく見かける「揖保の糸」の手延べそうめんですが、機械延べのものでも構いません。それはなぜかというと……。
1.そうめんは細くて短い!
よくスーパーやコンビニで見かける高級そうめん「揖保の糸」はレギュラー品の直径が07mmから0.9mm。つまり麺が細くて茹で時間が短いのです。
1分半も茹でれば大丈夫。しかも細くて短いからすぐにクニャッとなって、お湯のなかに全体が入りやすい。あっという間に火が通ります。燃料を節約したいときなら、全体がお湯に浸かるか、ふたつにバキッと折ったそうめんを入れて、ひと煮立ちで止めて少し待つだけで食べらるんです。ということは……。
2.お湯を注ぐだけでもOK!
万が一のとき、燃料はないけどお湯は手に入るということはあるかもしれません。そして少なくとも「揖保の糸」×熱湯はカップラーメン代わりになります。湯呑みやカップに4つくらいに折ったそうめんを入れてお湯を注いで2~3分待てば十分食べられます。アルデンテのパスタでお腹をこわすような人には不向きかもしれませんが、「揖保の糸」や機械延べのそうめんなら、火がなくても何とかなります。ちなみにそうめんは機械延べと手延べで太さの規格(JAS規格)が異なります。機械延べは1.3mm未満。手延べは太さ1.7mm未満であれば「そうめん」を名乗ることができます。
「揖保の糸」は手延べのなかでもかなり細い麺なので、カップ麺の代用ができますが、他の手延べ麺には倍以上の太さのものもあるのでご注意を。
3.どんな味つけでも合う!
そうめんの原料は小麦粉です。小麦粉原料の食材と言えば、パスタやうどん、中華麺などさまざまな麺類に使われます。なかでもそうめんの麺は、比較的シンプルで小麦の味わい十分! つまり和洋中、いずれの麺料理のレシピやソースが応用可能なのです。例えば、2.の「お湯を注ぐだけでOK」を応用すると、カップみそ汁との組み合わせも考えられます。また注いだお湯を先に飲んで温まり、そこにソースをかければカップ焼きそば風にもなります。
今日はそうめんを例に挙げましたが、昨日も店頭にパスタはないのに、もっと短時間の調理で済む緑豆春雨やレトルトのチャプチェが残っていたり、栄養満点の板麹などは棚に大量に残っていました。いずれも保存食なのに……。だいたい、ストックのつもりで買っても、その日に食べたらストックになりませんし、パンなどそもそもストックになりません。瞬間的に物資不足になっているいま、買い占めに走るくらいなら、家の電気を全部消して、営業している飲食店で楽しく外食した方が節電にもなります(断言)。
(松浦達也)
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