環境省がこの夏、節電のために呼びかけている「スーパークールビズ」。ポロシャツもOKのスタイルが早くも話題となっているが、実は何年も前から、独自の“ビズ”で涼しさを演出している街がある。
加山雄三さんや桑田佳祐さんの故郷としても知られる神奈川県茅ケ崎市。この街では2004年より、夏になるとアロハシャツ着用を推奨する「アロハビズ」が始まっており、すでに夏のお馴染みの光景となっている。

今年は例年より約1カ月早く、5月9日(月)よりアロハビズを開始した茅ヶ崎市。さっそく市役所職員のみなさんは、アロハシャツ着用で市民の窓口業務などを行っている。銀行、飲食店、雑貨屋など市内の各協力店でも、随時アロハビズをスタートさせる見込み。市議会議員のみなさんも毎年、特定曜日にアロハシャツを着用しており、今年も間もなく、ハワイアンな雰囲気の市議会の様子が見られそうだ。
アロハビズを推奨している「茅ヶ崎アロハ委員会」によると、今年は震災の影響による節電意識の高まりから問い合わせも多く、さらに参加店舗・施設が増える見込みとのこと。夏には街がアロハ一色に染まってしまうかもしれない。

茅ヶ崎市は、海に面していて過ごしやすく、スローなライフスタイルが似合う街。茅ヶ崎アロハ委員会は、ハワイを思わせる雰囲気のあるこの街の市民に、「仕事中でもゆったりとした気分になってもらいたい」と考え、アロハビズを提唱し始めたという。実際にアロハビズに参加した店員さんや職員さんからは、「堅苦しさが抜けてお客様と接しやすくなった」「市内が楽しく賑やかな雰囲気になった」という声が届いているという。
また、毎年5月にはアロハシャツをはじめ、ハワイ関連の雑貨や飲食物を販売する「茅ヶ崎アロハマーケット」を開催しており、市外からも多くの人が集まってくる。
今年も、2日間で約4万人の集客となり大いに賑わいを見せたとのこと。アロハビズは茅ヶ崎の魅力をPRする役割も果たしているようだ。

このように、節電以外にも、心理的、経済的にうれしい効果のあるアロハビズ。茅ヶ崎市も今年は特に力が入っている様子だ。

「茅ヶ崎は海も近いので、震災による津波の恐怖で市民は大きなショックを受けました。また、計画停電により市内の商売にも影響が出るなど、一時期は街に元気がなくなってしまいました。節電に配慮するだけではなく、アロハシャツを着ることで、まずは市民が元気を出し、その元気を全国にも伝えていきたいと思っています」(「茅ヶ崎アロハ委員会」渡邊さん)

節電意識だけでなく元気も伝わるアロハビズ。他の自治体や企業でも、オリジナルの“ビズ”を導入してみると、暑い夏をもっと楽しく過ごすことができるかもしれませんね。(池田美砂子)
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