いまさら「ゼビウス」かー、とか思いながら遊んでみたら、いきなり「ええええ!」ってなった。

「ソルバルウって、こんな高いところを飛んでたのか!」

「ゼビウス」と出会ってかれこれ25年以上になるけど、はじめて知った。
僕のなかでは、ソルバルウってもっと地表スレスレを、なぞるように飛んでるイメージだったのだ。

6月7日のアップデートで、ニンテンドー3DSのメニューに新しく「ニンテンドーeショップ」が追加された。インターネットを通じて、昔のゲームボーイ用ソフトをダウンロードして遊んだり(バーチャルコンソール)、ここでしか買えない「ダウンロードソフト」を購入したりできる。今までニンテンドーDSiで配信されていた「ニンテンドーDSiウェア」も利用可能だ。

中でもちょっとした目玉が、往年の名作クラシックゲームを「3D対応」にしてリメイクした「3Dクラシックス」というシリーズ。冒頭で書いた「ゼビウス」もその1本で、ほかにもファミコンの名作「エキサイトバイク」が配信中。ちなみに「ゼビウス」は600円で、「エキサイトバイク」の方はeショップオープン記念で、7月31日まで無料となってます。

ハナシを「ゼビウス」に戻すと、基本的なゲーム内容や、懐かしいドット絵などはすべてアーケード版のまま。ただし「3D対応」になったことで、画面に奥行きができた。変わった点といえばそれだけなんだけど、それだけでけっこう新しい驚きや発見がある。

たとえば冒頭で書いたとおり、一番驚いたのはソルバルウがちゃんと「空を飛んでる」こと。立体度は3Dスライダーでいつでも調整できるので、思いきって全開にしてみると、地面がぎゅいーんって離れていって、ソルバルウがすっごい高高度で飛んでるように見える! あんまり全開にしても見にくくなるけど、この「高さにクラクラする感じ」はちょっとクセになる。


眼下に広がる地上絵や、くるくる回転しながら飛来するバキュラなんかも、奥行きが加わるだけでまったく印象が違って見える。面白いもので、「低さ」がわかると、見慣れた地上絵がいつもよりずっと巨大に見えるんだよ! あと3Dで見てビックリしたのがブラスターの照準。あれってずっと「空中に浮かんでる」ものだとと思ってたけど、まさか地表にぺったり照射されてるものだったとは知らなかった。

考えてみれば「ゼビウス」も「エキサイトバイク」も、まだポリゴンも何もない時代に「立体の空間」を表現していたゲームだった。「エキサイトバイク」は十字ボタンの上下で奥と手前のラインを行き来できたし、「ゼビウス」はご存じのとおり「空中」と「地上」から襲ってくる敵を、ザッパーとブラスターという二種類の武器で撃ちわけていくところに特徴があった。当時のマシンでは平面のドット絵しか描けなかったから、ゲームシステムで「奥行き」があるように見せてたのだ。

だからこそ、「3Dクラシックス」の立ち上げにこの2本のゲームを持ってきたのはウマいなと思う。自分の中にあったイメージが、3Dスライダーを動かすことで「本物の奥行き」に変わる。ソルバルウが飛ぶ「高度」まで感覚として伝わってくる。

「映像が立体になったところで、ゲームそのものが変わるわけじゃない」って人がいる。でも映像が立体になったら、そこから受け取る「イメージ」は間違いなく変わる

その「イメージ」をどうにかして伝えようとしてきたのが「ゲーム」の歴史なのだとしたら、立体に見えることに意味がないわけがない、って僕は思うよ。

(池谷勇人)
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